事業再構築補助金の対象は中小・中堅企業経営者です。
しかし、企業経営者の多くは補助金の公募要領を理解していない場合があります。
事業再構築補助金に申請してみたいと思っても、意味が分からず断念する経営者も少なくありません。
申請してみようと思ってもらうためには、コンサルタント側が分かりやすく情報を提供する必要があります。
この記事では、事業再構築補助金の公募要領をどのように企業に理解してもらい、協力して進めていくのかを解説します。
事業再構築補助金は第8回までと言われています。
残された期間、出来るだけ多くの採択者を出すために、是非活用してみてはいかがでしょうか?
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経営者に公募要領を上手く伝えたい
Table of Contents
事業再構築補助金の公募要領が理解できない理由
申請する側にとって、事業再構築補助金って、とても難しく感じます。
コンサルタントとして、公募要領をしっかり理解し、ハッキリと内容を伝えることが大切です。
公募要領の多さ
事業再構築補助金が難しいと思われる、最も大きな理由は公募要領の書類の多さです。
類型や、申請枠も公募ごとにころころ変わり、全てを理解することは本当に難しいことです。
経営者の方々は、日々追われる業務により、公募要領を細かく理解する時間がありません。
大きな問題点は、公募要領を理解しなければ採択はされない。というところです。
そこでコンサルタントを使うメリットが出てくるわけです。
公募要領を分かりやすく経営者様に伝えることで、より採択されやすい事業計画書の作成が可能となります。
ニュアンスが曖昧
役所の方々が作った堅い資料ということもあり、表現の汲み取りが難しい場合があります。
冒頭から「思い切った事業への取り組み」とあります。
この思い切った事業とは一体どのような事業か分かりませんよね。
ここを明確に提示する必要があります。
企業の主軸事業を活かして、新しい市場へどのように参入したらよいのかを考えていきましょう。
すぐにもらえる補助金ではない
採択された場合、補助金がすぐにもらえるわけではありません。
多くの経営者様は、補助金獲得までのプロセスを知りません。
事業再構築補助金では、採択後に事業を実際に遂行し、目的が達成された後にかかった経費を申請出来る流れとなります。
つまり、事業発展に向けた一大プロジェクトであることを理解してもらう必要があります。
申請要件
事業再構築補助金の公募要領の全体的な概要とかならず抑えるべき類型について解説します。
①事業再構築補助金の前提条件
事業再構築補助金とは
コロナの影響で売上が減った企業に対する救済補助金です。
まず事業再構築補助金の大前提を理解してもらう必要があります。
ここがスタートラインになります。
売上減少が必須事項
【売上】
コロナ後3ヵ月の売上高が、コロナ以前の同じ3か月と比較して10%以上減少。
【合計付加価値額】
コロナ後3か月の付加価値額が、コロナ以前の3ヵ月と比較して15%以上減少。
更に詳しい概要は事業再構築補助金公式サイトをご確認ください。
付加価値額とは
営業利益+人件費+減価償却費=付加価値額
事業再構築補助金ではこのように定義されています。
実はここを理解せずに、補助金額の大きさだけで公募しようとしている経営者の方も少なくありません。
まずは補助金の概要を分かりやすく説明することが大切です。
②指針に沿う
指針とは、事業再構築の5つの方法です。
事業再構築指針
- 新分野展開
- 事業転換
- 業種転換
- 業態転換
- 事業再編
それぞれはどのような意味を持つのでしょうか?
これらを理解するには、まずは業種、事業、業態を明確にしましょう。
【業種】
仕事の種類を分ける上で、一番大きなくくりです。
日本標準産業分類において、大分類に当たるところが業種となります。
【事業】
販売している物やサービスで分けた分類です。
【業態】
取り扱う物やサービスの販売方法で分けた分類です。
③事業計画書の策定
企業経営者は、補助金を何に活用するのでしょうか?
事業再構築補助金の申請には、その内容を明確に記した、事業計画書が必要となります。
この事業計画書は
- 3~5年で付加価値額を年平均3.0%以上あげること
- 従業員一人の付加価値額を年平均3.0%以上あげること
これらを達成できる内容であることが最低条件です。
そして、コンサルタントであるあなたに、この事業計画書であれば大丈夫、と認められて申請が可能となります。
さらに、金額が3,000万円を超える申請の場合は必ず、金融機関も参加していただく必要があります。
この場合は、お付き合いのある金融機関への相談を推奨します。
認定支援機関の詳しい内容についてはこちらの記事を参考にしてください。
5つの指針内容
事業再構築補助金では、新事業の指針を明確にすることが求められます。
今回は食品の小売りを基に解説していきます。
①新分野展開
既存事業とは全く別の商品やサービスで、新しい市場に参入していくことです。
【例】
ラーメン店で培ったスープ作りのノウハウを使い、スープ製造設備を導入。
卸販売やエンドユーザに直接届けるネット販売。また海外輸出までの取り組みを実現する。
②事業転換
販売する商品を変更することです。
【例】
客足が途絶えつつある中、売り上げ好調である焼肉店を開店する。
③業種転換
大分類である業種自体を変更することです。
【例】
ラーメン店経営で培ったノウハウを基に、飲食店経営コンサルタントとなる。
④業態転換
販売方法を変更することです。
【例】
お店の味を自宅でも楽しめるように、インスタントラーメンとして加工し、ネットで販売していく。
⑤事業再編
以上4つの事業再構築を組織再編にて実施することです。
事業再編とは
- 合併
- 会社分割
- 株式交換
- 株式移転
- 事業譲渡
これらを補助事業開始後に実施することです。
6つの申請枠
通常枠とそれ以外は何が違うの?
条件を満たすことで、採択が優遇される傾向にあるんです。
第7回公募の申請枠の概要
第7回公募の申請枠
- 通常枠
- 大規模賃金引上枠
- 回復・再生応援枠
- 最低賃金枠
- グリーン成長枠
- 緊急対策枠
第7回の公募では以上6つの申請枠が設けられています。
それぞれに申請できる条件が有り、条件を満たす企業のみ申請可能です。
コンサルタント側で、まずはこの申請枠の条件を満たしていることをいち早く見極める必要があります。
さらに、通常枠よりも特別枠の採択率が高い傾向にあるため、条件が合うならば是非狙ってみましょう。
それぞれの申請枠の内容
申請枠 | 最大補助金額 | 補助率 | 概要 |
通常枠 | 8,000万円 | 中小企業 2/3 6,000 万円超は 1/2 中堅企業 1/2 4,000 万円超は 1/3 | 事業規模の拡大と新たな挑戦を支援 |
大規模賃金引上枠 | 1億円 | 中小企業 2/3 6,000 万円超は 1/2 中堅企業 1/2 4,000 万円超は 1/3 | 従業員が多く、継続的な賃上げに取り組む企業を支援 |
回復・再生応援枠 | 1,500万円 | 中小企業 3/4 中堅企業 2/3 | コロナの影響が引き続き苦しい企業を支援 |
最低賃金枠 | 1,500万円 | 中小企業 3/4 中堅企業 2/3 | 最低賃金上昇の影響が苦しい企業を支援 |
グリーン成長枠 | 1.5億円 | 中小企業 1/2 中堅企業 1/3 | グリーン成長戦略 14の分野に取り組む企業を支援 |
緊急対策枠 | 4,000万円 | 中小企業 3/4 中堅企業 2/3 | 原油高騰による環境変化に苦しむ企業を支援 |
どれを狙えば良い?
結局、どれを狙っていけば良いのでしょうか?
過去の採択率から分析すると、以下3つがおすすめです。
- 回復・再生応援枠
- 最低賃金枠
- 緊急対策枠
これら3つがおすすめの枠となりますので、条件が合うならば是非狙っていきましょう。
大規模賃金引上枠はある程度の企業規模が狙える枠、グリーン成長枠は事業自体が特殊であることから、公募出来る企業が限られます。
経営者とうまく付き合うコツ
営業力を高める
営業力とは、お客様の課題やニーズを吸い上げ、改善提案する力です。
企業経営者は、現場に出て実務をこなしている場合も多く、日々の業務に追われています。
ここで大切なのは、ヒアリングです。
現状の悩みを浮き彫りにして、改善策を提案。
そして補助金を活用した新事業展開、このようなプロセスで、企業を発展の方向へ導いてあげましょう。
信頼性
ネット集客で全国から依頼を集めようとしていませんか?
コンサルタントにとって最も大切なことの一つが、信頼です。
信頼性と密接にかかわること、それは接触回数です。
特に近年主流となったオンライン会議。実はオンラインに特化してしまうと、時として熱意が伝わりきらない場合があります。
実際に会って話すことを好む経営者様も少なくありません。
全国的な集客から、近いお客様に密着することから始めてみましょう。
信頼が重なると、追加案件や紹介など、売上アップに直結する案件を増やすことが可能です。
アフターフォロー
無事採択となったので安心しました!
安心するのはまだ早いです!
事業再構築補助金は採択されてからが大変なんです。
コンサルタントの支援も、採択されたから完結といって安心してはいけません。
事業再構築補助金は採択されてからが本番です。
計画を立てた収益を出していくために、必ず問題や障害が発生します。
目標収益が達成出来ずに、補助金の受け取りを断念する企業も少なくありません。
その障害を乗り越えるために、あなたの熱意と知恵で乗り越えていけるように寄り添いましょう。
必ず達成するという覚悟が必要です。
まとめ
今回の記事では、理解に苦しむ事業再構築補助金の公募要領について解説しました。
時間の無い企業経営者は多く、コンサルタントであるあなたの分かりやすい説明が必要不可欠です。
事業再構築補助金の必須条件
①売上の減少
②指針の理解
③事業計画書の策定
コロナの影響を受けていることが前提条件ということを理解してもらいましょう。
そして、経営者様の課題を上手く引き出し、どのように申請を進めるべきか誘導することで、信頼できるコンサルタントとして認識されるようになります。
また、経営者様に寄り添うアフターフォローを実施し、継続的にあなたに依頼したいと思っていただくことが大切です。