事業再構築補助金を申請する際に、募集要項として、『事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む』というものがあります。
果たして、事業再構築の為に、認定支援機関はどんなことをしてくれる所なのでしょうか?
どこの認定支援機関でも代わり映えしないんでしょう?
それぞれの機関によって、得意分野や特徴が違うので、より自分の事業にマッチした機関を選ぶべきですよ
どんな認定支援機関を選ぶかで、事業再構築が成功するか、労力が無駄になるのかの、分かれ道になってしまいます。
どのような機関があって、どんな基準で選ぶべきか、報酬はどれぐらいなのか?
疑問を、徹底分析していきます。
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事業再構築補助金の認定支援機関とは?
認定支援機関(正式名称:経営革新等支援機関)は、中小企業省が創設させた制度です。
昨今の中小企業を巡る、多様化、且、複雑化する経営課題を支援する為に、専門性の高い支援事業を目的とした経営革新等支援機関を認定する制度ができました。
税務、金融及び企業財務の専門知識や経営の実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関に認定を与えることで、中小企業に専門性の高い支援ができるような体制を構築するものです。
要は、経済産業省が許可した経営支援のプロ集団です。
具体的には、
- 税理士
- 税理士法人
- 公認会計士
- 中小企業診断士
- 商工会・商工会議所
- 金融機関等
- 経営コンサルト会社
- 個人コンサルタント
等が、認定支援機関として挙げられます。
因みに、現在37,770の個人・法人が認定支援機関として認定を受けています。
一概に認定支援機関といっても、そんなに多くの種類と数があるんですね。どの機関を選べばよいのでしょうか?
それでは、次に、それぞれの機関の特徴をみていきましょう!
それぞれの認定支援機関の特徴
上記で挙げた認定支援機関を特徴に合わせて大きく四つに分けてみました。
- 公認会計士、税理士、中小企業診断士などの士業系
- 金融機関
- 経営コンサルタント会社
- 商工会議所
それぞれの特徴について見ていきます。
士業系
主なサポート可能な役割
補助金申請時に、事業計画書や申請書の作成等、申請作業のサポートアドバイスを引き受けてくれることが多い。
メリット
- 普段から関与している税理士などにお願いすることで手間が省ける
- 要項、要件の読み取り等には長けており、書類作成等も的確な対応が望める
- 事業計画書や申請書の作成等、申請時の多くの労力へのサポートに対応してくれる
デメリット
- 成功報酬は高めのことが多い
- 事業再構築補助金全体としての実績は少なめの事が多い
金融機関
主なサポート可能な役割
財務的な部分のサポートは勿論、経営支援のアドバイスや事業計画の相談等も行えることが多い。
メリット
- 3,000万円以上の補助金を貰いたい場合には、必ず金融機関でなければならない
- 豊富な実績と経験を持っている事が多い
- 融資や資金巡りの相談等もできる
デメリット
- 成功報酬は高めのことが多い
- 金融機関を指定の場合、条件が設定されている可能性がある
コンサルタント会社
主なサポート可能な役割
主に、経営のアドバイスを中心に行っているところが多い。
メリット
- 成功報酬が安いところもある
- 経営のアドバイス、事業計画書の作成等多岐にわたってのサポートが可能
デメリット
- 金融機関よりは実績が少ない
- サポート実績にばらつきがある
商工会議所
主なサポート可能な役割
多岐に渡ってネットワークを利用して様々なサポートを受けられることが多い。
メリット
- 報酬がかからない可能性あり
- 地域の横の繋がりを活かせる
デメリット
- 実績は少なめ
- 商工会の会員の資格が必要の可能性がある
それぞれに特徴があるんですね。迷ってしまいます。
自分の事業では何をサポートして欲しいかを見極める事が重要ですね。
認定支援機関の専門的なサポートを活用すべき理由
事業再構築補助金の申請を自分で行うことは不可能ではありません。
しかし、申請にあたっては、たとえ成功報酬などを支払ってでも、やはり専門家のサポートを受けた方が良いでしょう。
認定支援機関の専門的サポートを正しく選択する事で、採択されるかどうかに影響を与えるだけでなく、申請までの労力や申請後のサポート、経営を支えてくれるパートナーとなり得るという事もあります。
認定支援機関の専門的サポートを活用すべき理由は以下の通りです。
- 申請にかかる手間や労力を節約でき、本業に打ち込めるから
- 要件を満たさないという事で申請を弾かれるリスクが減る
- 事業再構築の趣旨に沿った事業計画書を作成できる
- 経営のアドバイスをもらえる
- 融資や財務的な面で支援してもらえる
順に解説していきましょう。
申請にかかる手間や労力を節約でき、本業に打ち込めるから
本来の目的は、補助金を活用して、本業を立て直し安定的な経営、継続的な経営ができるようにすることです
補助金を得る為に、全精力を注ぐのは、本末転倒です。
任せられる所は専門家に任せて、申請にかかる手間や時間を、本業に注ぐべきです。
その為に、必要な部分足りない部分を、認定支援機関にお願いするのが正しい活用方法です。
要件を満たさないという事で申請を弾かれるリスクが減る
事業再構築補助金の申請には、満たさなければいけない要項が数多くあります。
過去の申請でも、およそ1割強が、申請条件を満たさずに、却下されています。
採択、不採択のテーブルにもつけていないのです。
専門家に依頼することで、このリスクは少なくなります。
事業再構築の趣旨に沿った事業計画書を作成できる
事業再構築補助金が採択されるかどうかは、事業計画書でのストーリー性や現状分析等にかかっています。
専門家に任せることで、採択されるストーリーや計画を相談でき、補助金の趣旨に沿った事業計画書を作成しやすくなります。
経営のアドバイスをもらえる
事業計画において、採択された後も、その計画を実行して、売上要項を満たしていかなければいけません。
その面で、一緒にサポートしていただきながら、経営を伴奏してくれる認定支援機関とタッグを組めれば、より経営は良い方向に向かいます。
融資や財務的な面で支援してもらえる
金融機関や商工会議所などは、資金巡りの面でのサポートを受けられる利点があります。
事業再構築補助金は、補助事業終了後での後払いとなっており、たとえ採択されたとしても先に補助事業を実施するための資金が必要になります。
そのため、一時的につなぎ融資が必要となったり、財務面でのやりくりも苦心する事が多い様です。
融資や財務的な面でのサポートは、経営を進めるにあたって大きな支援となります。
自社の弱い部分をサポートしてくれる認定支援機関がついてくれると心強いですね。
次に、認定支援機関にサポートしていただくタイミングについて見ていきます。
事業再構築補助金における認定支援機関の役割
認定支援機関の役割は、事業者の経営革新の手助けをする事です。
具体的に、事業再構築補助金を申請するにあたって、認定支援機関のサポートが必要なタイミングは3つに分類できます。
- 補助金申請時
- 補助金採択時
- 補助事業完了後
詳しく見ていきましょう。
補助金申請時
最も多い役割は、事業再構築補助金に申請するときのサポートです。
申請時時の大前提として、「募集要件」を満たしていなければいけません。まず、その要件を満たしていて申請できるのかどうかを確認します。
次に、事業計画書や資金計画書の作成をサポートします。申請の際の必要書類や添付書類等を揃えて確認する事も大切なサポート内容です。
この時に、必要書類を全てチェックしていただき、認定支援機関から「確認書」を発行して頂きます。
補助金採択時
申請作業を終え、無事に採択されたら、次は、補助事業に万進しなければいけません。
経営計画に沿って実施が進めているか、経営の面でのサポートを受ける事が出来ます。
補助事業完了後
補助事業終了後には、補助事業実施レポート等の報告書や申請しなければいけません。
終了後の実施検査を経て、補助金が受領できます。
補助金申請の時だけでなく、補助事業のサポートから実施後の各種申請まで、支援していただけると嬉しいですね。
続いて、報酬の相場に関してみていきましょう。
事業再構築補助金の報酬の相場
着手金と成功報酬の2種類
多くの機関が
- 着手金
- 成功報酬
と2種類の体系を設定しています。
「着手金」は、認定支援機関に依頼する時に支払う報酬であり、採択されるか否かに関わらず支払いをする報酬です。
たとえ採択されなくても、返金を受けられるようなものではありません。
「成功報酬」は、事業再構築補助金が無事に採択されたときに支払う報酬です。
認定支援機関の役割は多岐にわたり、どのサポートを受けるかどうかでかなり違う為、一概には相場を図る事は出来ませんが、一般的には以下の様になっています。
認定支援機関の相場
着手金:0円~数十万円
成功報酬:実際に得られた補助金の5%~15%程度
成功報酬は、実際に補助金が振り込まれた時点ではなく、採択結果が出た時点で支払うべき場合が多いため、支払い時期にも注意しましょう。
報酬と採択率の関係
実際、支払った報酬額と採択率に、関係性があるのでしょうか?
下記のグラフは、事業再構築補助金事務所が公表している「事業再構築補助金(第1回応募)認定支援機関の報酬と採択率」です。
報酬が発生していないケースが67%と多数に見えますが、実情を見ると申請者の自己申告の為、実際には報酬が発生しているケースが多数含まれると推測されます。
また、注目すべきなのは、報酬が2.5%以下が一番低く、そのから報酬割合が上がるにつれて採択率も上がっています。
しかし、10%以下が上限で、15%以上になると逆に採択率が下がります。・
経営支援機関の関わり度合いに比例して報酬も上がると考えられるため、報酬なしや2.5%以下の少額報酬の場合は、単なる書類のチェックやアドバイスにとどまるのではないかと推測されます。
報酬額が上がればそれだけ、申請の時の事業計画書のサポートや経営のアドバイス等を受けられていると考えられます。
逆に、15%越えだと採択率は下がっています。報酬が高ければ高いほど採択されやすいわけではないようです。
採択率を見ても、5%~15%ぐらいが妥当な報酬額といえるのでしょう。
余談ではありますが、過去には成功報酬を20%ほどにも請求する機関もあったようです。しかし、事業再構築補助金公式HPの解説動画の中で、中小企業庁の幹部が「20%も成功報酬を取る認定支援機関がいて非常識だ!」との発言していたため、現在は改善され高額な成功報酬を請求する所は無いようです。
認定支援機関検索サイト
こちらのサイトで、認定支援機関が検索できます。
認定支援機関として個人コンサルタントも活用できる
本記事とは、少し視点は変わりますが、認定支援機関の中にも、個人のコンサルト会社も意外に多く登録されていることにもわかります。
事業再構築補助金の申請にあたっては、申請の準備から、業界の分析、マーケティング、事業計画の作成や、採択後の経営フォローまで、サポートは多岐の分野に渡ります。
通常業務をこなしながら、多岐の分野をカバーしなければいけないのはとても大変な労力です。
ここに、個人コンサルタントとしての需要も多いようです。
申請から経営の並走まで、企業に寄り添って一緒に事業再構築を目指すコンサルタントは、多くの案件と信頼を得られるでしょう。
この先は、コンサルタント向けではありますが、案件の取り方、成功方法も載せておきます。
個人コンサルが認定支援機関になるには
こちらも余談にはありますが、個人コンサルタントが認定支援機関になるための必要なことについてご紹介します。
経済産業省から経営のプロとして認定される事は、大きな信頼向上でもあり、多くの案件も公認で扱えるようになります。
認定支援機関に申請するには
認定支援機関として申請するには、下記の条件を満たしていなければいけません。
- 税務や金融・財務に関する専門知識を持っていること
- 専門的な立場から、経営状況の分析などの指導・助言の実務経験を3年以上積んでいること、またはそれと同等以上の能力を持つこと
- 長期かつ継続的に支援業務を行なえる体制である事
- 破産者や暴力団員でない事
これらの条件を満たすために、下記の3つのうちのどれかをクリアする必要があります。
研修・試験を受ける
理論研修・専門的知識判定試験(17日間)
実践研修・実践力判定試験(2日間)
2つを合格する事で、認定支援機関になる為の申請が出来ます。
経営革新計画の作成・承認を3件以上得る
経営革新計画とは、中小企業が新しい事業に取り組み、付加価値額・経常利益額などの経営向上を目指すために作る中長期的な計画書です。
この経営革新計画を作成し、3箇所以上の経営革新計画の承認を得れば、認定支援機関の申請が出来ます。
経営向上計画の作成・承認を3件以上得る
経営向上計画とは、人財育成・コスト管理尾・設備投資などの経営力の向上を目指すために作る計画書です。
この経営向上計画を作り、3箇所以上の経営革新計画の向上を得れば、認定支援機関の申請が出来ます。
申請時に必要な書類
認定支援機関として求められるには、経済局に申請する必要があります。
申請するときの必要書類は、申請者の状況によって異なりますので、下記の経済局のホームページでよくチェックしてから、書類準備しましょう。
まとめ
- 認定支援機関は経営支援のプロ集団である
- 認定支援機関は大きく四つに分類され、それぞれの特徴があること
- 専門的なサポートを活用する大きなメリット
- 認定支援機関の担う役割とタイミング
- 成功報酬と相場
と見ていきました。
認定支援機関を適切に選び、うまくサポートしてもらうことで、経営を立て直し、安定的、継続的な経営ができる体制づくりのお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。