コロナ渦で経営に苦しむ個人事業主、フリーランスの皆さん。
事業再構築補助金をご存じですか?
事業の再構築?と聞くと、大企業のしっかりとした事業をメインの補助金だと勘違いしてしまう方も多いのではないでしょうか?
実は、この補助金には、個人事業主こそ有利に使える枠があります。
二次募集から対象地域が広がった「特別枠」というものです。
「特別枠」の活用次第で、個人事業主やフリーランスでも活用できて、苦しい経営の立て直しの一手になるかもしれません。
経営に苦しむ個人事業主は必見!「特別枠」について、説明していきます。
Table of Contents
事業再構築補助金二次募集での変更事項
事業再構築補助金とは?
「事業再構築補助金」の名前は聞いたことありますが、
個人事業主やフリーランスでも申請できるのでしょうか?
勿論です!個人事業主もフリーランスも活用できる制度です。
事業再構築って、大幅な経営の方向転換をしなければいけないのでしょうか?
案外今の事業をベースにして、ちょっとした方向転換でも採択されている事例も多いです。
令和3年3月26日に経済産業省から公表された『事業再構築補助金』ですが、
一次募集は申請期間がわずか半月という、厳しい条件下でのスタートでした。
その為二次募集では、申請の要件がいくつか緩和され、変更事項が加わりました。
二次募集で緩和された変更事項により、個人事業主やフリーランスでも活用しやすくなりました。
まずは、その変更点から見ていきましょう。
2022年3月現在、五次募集まで終わり、六次募集の公表待ちです。
二次募集での変更事項
売上高の減少要件の期間の見直し
売上高が減少した期間が、一次募集の時には、『申請前の間近6カ月』となっていました。こちらが、二次募集では、『2020年10月以降で連続している6カ月』と変更となりました。
一番打撃を受けた任意の期間を選択できるのは、申請の幅が広がりました。
緊急事態宣言再々発令に伴う特別枠の要件の見直し
一次募集での、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県に加えて、二次募集では北海道、岡山県、広島県、沖縄県も加わりました。
創業したての企業の特例
一次募集では、2020年4月1日から2020年12月31日の期間に創業した企業は、補助の対象外となっていました。
しかし、二次募集から、「2020年4月1日から2020年12月31日までに企業を創業した場合の売上高減少の要件の特例」が加わりました。
コロナ以前から創業を計画していて、コロナ渦でも創業した企業も特例で支援の対象となります。
EBPM加点の新設
加点制度は、指定された行為を行うことで補助金の審査が有利になる仕組みです。二次募集から経済産業省が現在取り組んでいるEBPM(証拠に基づく政策立案)に従って追加書類を提出すると加点される、EBMP加点が新設されました。
具体的には、
- 加点① 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛などによって、2021年1月~5月の任意の月の売上高が前年に比べて、または前々年の同月とくらべて、30%以上減少ししまっていることを証明する書類を提出すると加点されます。
- 加点② 2021年1月~5月の任意の月の固定費(家賃、人件費、光熱費等の合計)が同じ期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類を提出すると加点されます。
EBPM加点項目とは
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。
政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したEBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼確保に資するものです。
内閣府では、EBPMを推進するべく、様々な取組を進めています。
引用:内閣府におけるEBPMへの取組
金額1,500万円以下の場合の事業計画書ページ数が変更
一次募集では、申請時に提出する事業計画書の規定には、15ページ以内とありましたが、二次募集では、補助金額1,500万円以下での申請では、10ページ以内と既定が緩和されています。
今回は、二次募集の変更事項の中でも、エリアの追加で要項が緩和になった
「緊急事態宣言特別枠」
個人事業主やフリーランスで申請するのであれば、”特別枠”が特におすすめです。
2022年3月現在、五次募集まで終わり、六次募集の公表待ちです。
「緊急事態宣言”特別枠”」がおすすめの理由
「通常枠」に比べて「緊急事態宣言”特別枠”」の方が個人事業主、フリーランスにおすすめの理由について説明していきます。
緊急事態宣言特別枠のメリット
- 通常枠より迅速な審査と採択がされる
- 通常枠よりも補助率がアップする
- 不採択でも、加点がされて通常枠で再度審査を受けることができる
順に解説していきます。
①通常枠より迅速な審査と採択がされる
緊急事態宣言特別枠で申請する事で、通常枠よりも迅速に審査・採択が行われます。
②通常枠よりも補助率がアップする
緊急事態宣言特別枠は、従業員が5人以下の企業の場合には、500万円までの補助額を、3分の4という高い率で補助してくれます。(通常枠の場合は、2分の3)
通常枠よりも補助率が高く、小規模の企業にも有利なのがポイントです。
③不採択でも、加点がされて再審査を受けることができる
特別枠で申請し、不採択になってしまった場合でも、加点が付けられる上で通常枠にて再審査を受ける事が出来ます。2回のチャンスがあるだけでなく、2回目の審査で加点があるので、最初から通常枠に応募するよりも採択率は高くなります。
2022年3月現在、五次募集まで終わり、六次募集の公表待ちです。
次に、申請するためにはどのような要件があるかを見ていきましょう。
申請要件
申請要件は次の3つです。
①売上が減少している
2020年10月以降で、連続している6か月のうち、どれか3か月の合計した売上高が、 コロナ以前の同じ3か月を合計した売上高と比べて10%以上減少しまった企業。
どの月を選ぶかは、連続していない3か月でも構いません。特に打撃を受けてしまった月を選ぶのがよいでしょう。
②事業再構築に取り組む
事業の再計画を、認定経営革新等を支援する機関(税理士や中小企業診断士など)、もしくは金融機関と作成し、一体となって 事業再構築に取り組む企業。
補助金を申請するときには、特に、事業計画書の具体的な内容と実現性が求められます。計画をわかりやすく説明できるように、事業計画書の作成を練り込むことが必須です。
③事業計画の達成
補助事業が終了した後、3~5年で付加価値額が年平均3.0%以上の増加、もしくは、従業員一人当たり付加価値額が年平均3.0%以上の増加が達成されること。
※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を合計したものです。
事業計画書には明確な数字目標が指定されており、事業が終了した後日に達成報告を求められます。
計画通り達成できなくても、返還の必要はありません。
上記が、通常枠における申請要件です。
それに加えて「緊急事態宣言特別枠」では、
ポイント
④緊急事態宣言の影響を受けている
緊急事態宣言の発令によって生じた飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~3月どれかの月の売上が2020年、もしくは 2019年の同月比で30%以上減少してしまった企業。
このようになっています。
緊急事態宣言で休業要請の対象にならなかった地域や業種でも、要件を満たせば、地域や業種は問いません。
不要不急の外出制限により、大幅に売上に影響を受けた場合も、この対象になります。
(正し、緊急事態宣言の影響を受けたことを証明する資料の提出が必要になります)
コロナの影響によって大きく打撃を受けた個人事業主やフリーランスは大多数いらっしゃると思います。
次に、事業再構築の要件には、どのようなものがあるのでしょうか?
実際紹介されている活用例から、自分の事業が当てはまるものが無いかイメージしてみるのがよい方法です。
事業再構築の事例(実際の活用例より)
飲食店での活用事例
居酒屋から業態転換
コロナ前:
居酒屋を経営していた所、コロナの影響で売上が減少してしまった。
(業態転換)→
コロナ後:
店舗での営業を廃止。オンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始。
補助経費の例:店舗縮小にかかる建物改修の費用
新規のサービスにかかる機械導入費や宣伝広告費
小売店での活用事例
紳士服販売業から業態転換
コロナ前:
紳士服販売業を営んでいた所、コロナの影響で売上が減少してしまった。
(業態転換)→
コロナ前:
店舗での営業を縮小し、紳士服のネット販売事業やレンタル事業に業態を転換。
補助経費の例:店舗縮小にかかる建物改修の費用
新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築費
宿泊業での活用事例
宿泊業から業種変更
コロナ前:
宿泊業を営んでいたが、コロナの影響により出張や旅行の機会が減少したことで 利用客が激減してしまった。
(業種転換)→
コロナ後:
在宅勤務者等をターゲットとして、旅館の客席の大半をコワーキングスペースに改修し、新たに運営を行う。
補助経費の例: 客席改装にかかる建物改修の費用
新たなる顧客導入のための宣伝広告費
実際採択された事業再構築の活用イメージは、経済産業省のホームページにも
乗っています。
現在の業種と照らし合わせて、どんな事例が当てはまりそうか
見てみるのもよいでしょう。
もちろん集客自体を上げることもとても大切です。
集客を上げるためのアイディアはこちらの記事にも乗っております。
次に「事業再構築補助金」を受け取るまでには、どのような手続きが必要でしょうか?
まとめました。
実際の申請準備から申請手続き、補助金支払いまでの流れ
申請方法の流れ
申請準備
●認定支援機関と事業計画を策定し、事業計画書を作成します。
●「GビズID プライムアカウント」の取得します。
●必要書類をそろえます。
申請を行う
●公募の受付が始まったら、「GビズIDプライムアカウント」で、
オンラインにて申請する事が出来ます。必要書類を添付の上、送信します。
審査結果の通知・公表
●事業再構築補助金の審査結果が事務局から通知されます。
補助金交付審査申請を行う
●採択後、補助対象経費の精査の為、補助金交付審査申請を行います。
補助金事業実施期間
●補助金事業を展開する期間です。
補助金の請求・支払い
●補助金は原則あと払いです。確定審査が行われた後に補助額が決定し、
事業者に支払われます。
こちらのステップが、補助金を受け取るまでの大まかな流れです。
次に、補助金を申請する際に、必要な書類をリストしました。
多くの書類を求められる為、あらかじめご準備しておくことをおすすめします。
申請に必要な書類
申請時に必要な書類リストです。
- 事業計画書
- 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
- コロナ以前に比べて売上高が減少したことを証明する書類
- 決算書
- ミラサポplus「電子サポート」の事業財務情報
- 2021年の国による緊急事態宣言に影響を受けたことにより、売上減が証明できるもの
おまけ情報:コンサルタントの案件獲得方法
経営の苦しむ個人事業主、フリーランスにとって補助金は大きな救いである一方で、申請手続きや計画の策定等の通常業務をこなしながらの進めるのは大変な労力ではあります。
そんな気持ちが分かり、個人の状況に寄り添って支えてくれるコンサルタントも、需要は多いようです。
変わりゆく補助金の制度に精通するだけでなく、顧客の気持ちに立って考えられるコンサルタントは、自然と獲得案件も多くなります。
本記事としては、余談になりますが、コンサルタント向けの案件の取り方、成功方法も載せておきます。
まとめ
- 個人事業主が使うなら、「事業再構築補助金”特別枠”」の活用がおすすめ
- 特に緊急事態宣言で打撃を受けた人は申請しやすく、通常枠での再提出も可能
- 実際の採択事例を参照にして、自分の事業に当てはめられるものを探しましょう
- 申請のステップと流れ
- 実際の必要書類
事業再構築補助金のお陰で、苦しい経営状況を大きく脱却できた声も多く聞こえてきます。
当記事が、申請の不安を少しでも取り除き、皆様の状況脱却の後押しになって頂ければ幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。