「開業届を出すデメリットを知りたい。コンサルタントとして独立・起業したいと思っているが、開業届は出したほうがいいのか、出さないほうがいいのか。税金面など損はしたくない。」
上記の悩みについてお答えしていきます。
今回、この記事では開業届を出すデメリットについて詳しく解説していきます。
その他、届出のメリットなども解説しています。ぜひ一読ください。
Table of Contents
開業届を出すデメリットは3つ
開業届を出すデメリットは主に次の3つです。
開業届を出すデメリット
- 扶養に入れなくなる可能性
- 状況によっては失業手当を受けられない
- 青色申告にした場合、帳簿付けの手間がかかる
それぞれ説明していきます。
扶養に入れなくなる可能性
扶養に入りながら開業届を出した場合、状況によっては【健康保険上の扶養】に入れなくなる可能性があります。
補足
扶養には【所得税法上の扶養】と【健康保険上の扶養】があります。そして開業届に関係してくるのは健康保険上のほうです。
通常、配偶者の扶養に入っていれば、健康保険料は払わずに済みます。しかし、配偶者が属する会社の【健康保険組合ルール】によっては扶養に入れない可能性があります。
配偶者の【健康保険上の扶養】から外れる目安は年間所得130万です。しかし、この目安も会社によってルールが違うため、届を出す前に確認したほうが良いです。
もし扶養に入っているのであれば、届を出す前にちゃんと企業のルールを確認したほうが良いですね。
※参考記事:freee株式会社【サラリーマンの妻が青色申告しても、扶養家族でいられるか?】
社会保険の扶養から外れた時の支払い2つ
- 国民健康保険料
- 国民年金保険料
扶養から外れることで、上記2つを自分で支払うことになります。
状況によっては失業手当を受けられない
開業届を出すと失業手当が受けられない可能性があります
可能性というのは、実際のところ受け取れる方と受け取れない方、両方いるためです。
「要件を満たせば受け取れる」というご意見もあります。※各自治体によっても条件が異なる可能性。
そもそも失業手当は【再就職する意思】も条件の1つ
そもそもでずが、失業手当は【再就職の意思がある】というのを条件の1つとしています。
そのため、届を出す=個人で独立・起業する、ということでもう一度就職をする気がない、と見なされるわけです。
確実に失業手当を受け取りたいならすぐに開業届を出さないのも有効
先ほどお伝えしたように、状況によって手当を受け取れたり、受け取れなかったりします。
もし、「失業手当はしっかりもらいつつ、独立・起業のことも進めたい」という場合は、すぐには届を提出しないほうが確実とも言えます。
青色申告にした場合、帳簿付けの手間がかかる
届を出すことで、確定申告の際、青色手続きでの納税が可能です。
この青色申告ですが、申告の書類が複雑であり、帳簿付けに手間がかかります。
慣れない方には理解も難しいため、最初から税理士さんにお願いしている個人事業主の方も多くいます。(もしくは会計ソフトを使い自分でおこなう)
複雑ですが、最大65万円控除などのメリットもあるため、できるなら活用したい制度です。※下記見出しの【届を出すメリット】で詳しく解説しています。
お得な制度ほど、手続きが面倒になっていますよね。もっと簡単にしてほしいですが。。
絶対に青色申告というわけではない
届を出したからといって、絶対に青色でなければいけないわけではありません。
もう一つの申告方法である、白色申告でも、もちろん問題ありません。(白色申告のほうが書類は簡単です)
人によっては、最初白色で申告して、後に青色に変えるという方もいます。ただし、白色申告は、青色のような65万控除など、節税の特典はありません。
参考記事:開業届の出し方
こちらの記事では開業届の出し方をわかりやすく解説しています。よろしければご覧ください。
開業届を出すメリットは3つ
開業届を出すメリットは主に次の3つです
開業届のメリット3つ
- 青色申告制度を使える
- 小規模企業共済に入れる
- 社会的な信用につながる
それぞれ解説していきます。
青色申告制度を使える
届を提出することで、青色申告制度を使えます。(青色申告承認申請書の提出も必要)
そして、青色申告制度の主なメリットは次の2つです。
- 事業所得の最大65万円控除
- 家族への給与を経費にできる
それぞれ説明していきます。
事業所得の最大65万円控除
正確には青色申告特別控除と言われ、所得から最大65万円の控除が可能となり、大きな節税になります。
具体的には以下のようになります。
【所得税】
- 特別控除のない場合で所得500万→500万円(所得)×0.2(税率)ー42.75万円=57.25万円(所得税)
- 65万円控除ありで所得500万→435万円(65万控除の所得)×0.2(税率)ー42万7500円=44.25万円
- 上記2つの差額→13万円
【住民税】
- 500万円の10%=50万円
- 44.25万円の10%=43.5万円
- 上記2つの差額→6.5万円
上記の所得税と住民税合わせて、19.5万円の節税になります。
なかなか理解が難しい青色申告ですが、お得なのは間違いないので、なるべく活用したいところです。
家族への給与を経費にできる
家族を従業員として雇っている場合 (正確には青色事業専従者)、その給与を全額経費にできます。ただし、配偶者が専従者として働くと、配偶者控除が受けられなくなります。
専従者の給与が月3万など少額の場合、専従者にならず、配偶者控除を受けたほうがお得な場合もあります。
御夫婦でがんばるという方々にはお得な節税制度ですね。全額経費はすごいです。
小規模企業共済に入れる
個人事業主、経営者などが事業を廃業した場合、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受けとれます。
開業届の提出、もしくは一度確定申告を済ませていた場合、この小規模企業共済に加入できます。
- 20年以上積み立てれば掛金100%以上の金額を受け取れる
- 掛金の全額が所得控除扱いとなる
- 一括受け取りを選択すれば、所得控除になる
などのメリットがあります。
会社員と違い、個人事業主は退職金がありませんから。この制度は助かりますね。
社会的な信用につながる
- 屋号付きの銀行口座を開設できる
- 就労証明書の代わりになる(保育園などで求められることがある)
- その他、融資を受けられる、など
社会的な信用としても、メリットがありますね。
結局開業届は出したほうが良い
結局、開業届は出したほうが良いです。節税、社会的な信用など、届出を出すことで何かと助かります。
それに、上記でお伝えした青色申告の65万円控除は大きなメリットです。
※先ほどもお伝えしましたが、失業手当を確実に受け取りたい場合は、開業届をすぐには出さないのも有効です。
そもそも届出の提出は義務付けられてはいる
所得税法第229条にて、開業届の提出は義務付けられてはいます。つまり出したほうがよいということです。
ただし、出さなくても法的な罰はありません。(実際未提出の個人事業主の方も多くいます)
しかし、繰り返しになりますが、提出することで受けられるメリットは確実にあります。ですので、なるべくは提出したほうがよいです。
よければ、下記の記事もご参考に一読ください。コンサルタントの案件獲得方法についてです。
おまけ情報:コンサルタントの案件獲得方法について
開業届の内容とは関係ありませんが、コンサルタントとしての独立・起業にお役立てください。
個人事業主にとって大切な、仕事の獲得方法(営業・集客など)について解説しています。
まとめ
開業届を出すデメリット
- 扶養から外れる
- 失業手当が受け取れない可能性
- 青色申告の帳簿付けが少々手間
開業届のメリット
- 青色申告制度の利用(最大65万円控除)
- 小規模企業共済に入れる
- 社会的な信用
- 結局、開業届けは出したほうが良い(そもそも義務付けられてはいる)
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。