経営コンサルタントとは、企業の経営状態を調べ、問題を浮き彫りにして解決策を提案したり、要望に沿った成果を上げるための提言や助言をしたりします。
そして最終的にクライアント自身で業績を上げられるように支援する職業です。
経営コンサルタントになるために必要なものは一切ありません。誰でも経営コンサルタントを名乗れます。
ただし、経営コンサルタントを名乗るだけで経営コンサルタントとして仕事ができるとは限りません。
この記事では、経営コンサルタントとして仕事をするためにあると有利な経営コンサルタントの資格や資質、スキルや適性について紹介します。
Table of Contents
経営コンサルタントとは?
経営コンサルタントって何をするんでしょうか? 経営を…コンサルティングすること?
クライアントの経営に関する相談に乗ったり、助言をしたりすることですね!
経営コンサルタントとは、クライアントの企業に対して経営面のコンサルティングをする職業ですが、そのために
- 経営状態を調べる
- 経営上の問題を浮き彫りにする
- 経営上の問題の解決策を提案する
- クライアントの要望に沿った成果を上げるための提言や助言をする
- クライアント自身で業績を上げられる状態へ支援する
といった相談に乗る以外のことも、さまざまなクライアントに応じて行います。
経営状態を調べる
経営状態ってどうやって調べるんですか?
クライアントにヒアリングをしたり、内部資料を提出してもらったり、クライアントの企業に勤める人たちからアンケートに答えてもらったりなど様々なアプローチからクライアントの企業に関する情報を集めます。
そして集めた情報をもとに、その情報と業績との関係を比較分析したり、フレームワークに当てはめたりして経営状態を調べます。
経営上の問題を浮き彫りにする
何が問題なのか特定するために必要なことは現状把握です。
経営状態という現状を把握することで、クライアントが認識している悩みを生む出す経営上の問題が見えます。
経営上の問題の背景にはクライアント自身が重要な問題になっている場合もあります。
そういった場合、外部の人間である経営コンサルタントだからこそ見える視点を提供して、責められた気持ちにさせずに気づきを促すことも必要です。
経営上の問題の解決策を提案する
浮き彫りになった経営上の問題に対して仮説検証をして最適な解決策を導き出します。
そしてクライアントに解決策を提案しますが、クライアントに受け入れてもらいやすくためにも、クライアントが現実的に取り組めるプランに落とし込まなくてはなりません。
そのために資料作成やプレゼンテーション技術などが必要になることもあります。
クライアントの要望に沿った成果を上げるための提言や助言
マイナスを生み出す問題を解決してマイナスをゼロにすることだけでなく、すでにプラスになっていることをさらに伸ばすことも経営コンサルタントの仕事です。
強みの分野で販路拡大を考えてどういう媒体を使っていけばいいかクライアントに相談されたとします。
目的 | 売上拡大 |
戦略 | 販路拡大 |
戦術 | どういう媒体を使っていけばいいか?(相談内容) |
相談内容である「どういう媒体を使っていけばいいか」にフォーカスした助言だけでなく、「その分野の販路拡大にはM&Aの選択肢もありますよ」といった助言をすることも大切です。
クライアント自身で業績を上げられる状態へ支援する
経営コンサルタントは「企業のお医者さん」「経営のドクター」とたとえられることがあります。
医者が患者を診察して病気の特定をし、その病気に対応した治療をするように、経営コンサルタントも企業を診断して問題の特定をし、その問題に対応した解決策を提示するからです。
患者が診療によって快復することで医者を必要としなくなるように、経営コンサルタントもクライアントが経営コンサルタントを必要としなくなるように自立支援することが求められます。
ただし、健康という上限がある医者と違って経営コンサルタントの場合は、上限はクライアントの要望によるので、ビジネスパートナーとして良好な相互関係を持ち続けても良いでしょう。
経営コンサルタントになるには?
コンサルティングの実績がないんですが、経営コンサルタントになるにはどうすればいいんでしょうか?
コンサルティング以外の過去の実績をまとめてみましょう。
サラリーマン時代の実績などから経営コンサルタントとして何ができるか強みがわかるので、あとはクライアントからお仕事を取ることで経営コンサルタントとしての第一歩を踏み出せますよ。
経営コンサルタントになるにはどうすればいいかについての質問でよくあるのが、
実績がないときはどうすればいいのですか?
という内容です。
経営コンサルタントになろうとしている人がコンサルタントの実務経験がなくて実績がないのはよくあることです。
だからと言って何も実績がないと思い込んでしまうのはよくありません。なぜならサラリーマン時代の実績を活かせる可能性が十分あるからです。
そして本来素晴らしい実績があっても、自己評価では大したことない実績だと見てしまいがちです。
あなたの過去から宝を見つけて経営コンサルタントに活かすための、弊社株式会社エリアワン流キャリア振り返り方法を以下の記事で紹介しております。
実績がなくてお困りの方はぜひご覧ください。
経営コンサルタントの資格
経営コンサルタントの資格があるようなので、やっぱり資格がないと困りますよね?
資格がないと必ず困るわけではないですが、資格があれば素養がある太鼓判になって有利に働くことはありますね!
経営コンサルタントになるために必要な資格はありません。
しかし、資格取得の過程や試験合格によってその職業に対する自信や素養を持ったり、その職業能力があるような評価を期待させられるので、資格が無いよりは有る方が良いと言えます。
経営コンサルタントの資格は、国家資格と民間資格があります。
国家資格は中小企業診断士、民間資格は経営士や認定経営コンサルタントなどです。
国家資格
中小企業診断士は経営コンサルタントの資格の中で唯一の国家資格です。
しかし、国家資格だからといって中小企業診断士の資格がないと経営コンサルタントになれないわけではありません。
それから、名称の通り中小企業に対してのものなので、中小企業相手でないコンサルティングの場では評価されない可能性があります。
一方で、日本企業の99%以上が中小企業であり、ベンチャー企業やスタートアップ企業といった社会にインパクトを与え得る中小企業のサポートをする機会に恵まれることが期待できます。
中小企業診断士についてより深く知りたい方は以下の記事をご覧ください。
民間資格
経営士や認定経営コンサルタントなどの民間資格は、経営コンサルタントとして必要な素養が受験資格の時点から求められます。
また、中小企業診断士のように資格名にコンサルティング対象を限定する言葉が入っていないので、その資格を持っていることで持たないよりは有利に働くことが期待できます。
中小企業診断士、経営士、認定経営コンサルタントといった資格は、経営コンサルタントを想定した資格ですが、それ以外にも経営コンサルタントに役立つ資格があります。
より詳しい説明は以下の記事をご覧ください。
経営コンサルタントの資質、スキルや適性
経営コンサルタントの知識や資格以外にも知っておいたほうがいいことってありますか?
企業の経営に影響を及ぼす仕事ということは、コンサルティングする相手以外にも影響を及ぼすということ。その影響力の大きさを念頭に置いておいたほうがいいでしょう。
経営コンサルタントは、一個人を相手にするサービス業ではなく、法人という一個人に留まらない複数の構成員の判断基準に影響を及ぼす経営判断の助言をします。
経営コンサルタントの助言を受けて今までと違う経営判断をしたことによってそれぞれの構成員の判断基準が変わります。
今までと判断基準が変わったそれぞれの構成員が、その法人外の個人や団体、社会に対して影響を及ぼすことになるという、社会的に影響力のある意思決定をする仕事です。
経営コンサルタントに求められる3つの要素
その影響力の大きさを考えれば、経営コンサルタントに対して資質やスキルや適性については高い水準を求められます。経営コンサルタントに求められる代表的な3つの要素は、
- プロフェッショナルマインド
- コミュニケーション能力
- 論理的思考力
です。
プロフェッショナルマインド
プロフェッショナルマインドとは、一言で表すと「自分が関わっていることは全て自分ごと化する意識」です。
その意識を持つだけでそれ以外の必要な要素は全てついてくると言っても過言ではありません。
自分ごと化とは”自分”の範疇に自身以外も含めること
例えば、自分ごととして最たるものに自分の命があります。
私たちは命を落とさないような判断を常にしていて、その結果命を守るために必要な要素が自然と身についています。
同様に、自分が関わるクライアントに対して自分ごと化すると、クライアントとの関係において自分の命を守るように必要な要素が全てついてくると言えます。
なので、契約上では必要のない場合もあるクライアントの結果責任も当然自分ごととして捉えることが大事です。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力には、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションがあります。
その2つの違いをざっくりした説明をすると、言語を使ったコミュニケーションか言語以外全てを使ったコミュニケーションかです。
また、プロフェッショナルマインドを持っているかどうかの試金石にもなるのがコミュニケーション能力です。
言語コミュニケーション
言語コミュニケーション能力の高さとは、内容だけでなく言葉遣いや話の構成など、相手が理解したくなる・理解できる話をしているかどうかです。
言語コミュニケーション能力の高さを自己判断するには
言語コミュニケーション能力の高さを自己判断するには、相手が前のめりになって話を聞こうとしてくれたり、実際に話を理解して相手の行動が変わったりしたかなどでわかります。
自分の話に対して相手が関心を寄せなかったり、話を理解していそうでも望ましい行動を取らない場合は、自分の言語コミュニケーションに改善の余地ありと言えるでしょう。
非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーション能力の高さとは、言語コミュニケーション以外の自分発の要素かつ相手に影響を与える要素全てです。
非言語コミュニケーションと言えば身振り手振りですが、それ以外にも視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の五感や、言語化しにくい態度や雰囲気なども含まれます。
それらは相手の立場を尊重したものかに尽きます。
非言語コミュニケーション能力の高さを自己判断するには
非言語コミュニケーション能力の高さを自己判断するには、相手がTPOに合った体の向きをしているか、お互い適度なリラックスをしているかなどでわかります。
相手が妙に体を背けていたり体が強張っているなら、自分が相手の立場に合った振る舞いができていないと考えられます。
相手が敬遠してしまうような仰々しさがあったり、逆に見くびられているのかと相手に感じさせる服装や物の扱いなどへの雑さといったことが考えられます。
相手に受け入れられていない場合
プロフェッショナルマインドを持った自分の判断が受け入れられていないとすれば、それは相手の理解力や度量などの問題と考えないほうがいいでしょう。
自分にできることを考える前に相手に問題があると考えてしまうと、相手が変わるのを待つ以外で進展ができないからです。
もしかすると、自分の伝達能力やその準備段階、つまり言語・非言語のコミュニケーション能力に問題があるかもしれません。
伝達能力は主に言語コミュニケーションなのでわかりやすく上達できますし、録音しても良いなら録音を確認することで問題があるかわかります。
一方、非言語コミュニケーションはビデオ撮影をしているでもなければ問題に気づくのが困難です。
しかし、言語コミュニケーションに問題ないなら非言語コミュニケーションに問題があると判断できます。
論理的思考力
ビジネスの場において自分の提案を相手に受け入れてもらうためには、論理的思考によって構成された話ができる必要があります。
また、重大な経営判断をするための根拠も論理的整合性があるようにしなければなりません。そのために必要な要素が論理的思考力です。
論理的思考力は言語コミュニケーション能力に必要な要素ですが、経営判断に影響を与えることも論理的思考によって組み立てられるべきです。
非論理的判断はリスクが把握できない
なぜなら、論理によらない感情を例にすると、感情を根拠にした経営判断にはリスクの想定や測定ができないからです。
リスクの想定ができないということは、その経営判断が企業規模に合っているか、法令遵守ができているかに対する精査に欠けていることになります。
それによってキャッシュフローが回らず倒産したり、法令違反を犯して営業停止処分を受け社会的制裁も被るなどの最悪のケースに陥る可能性があります。
論理的であれば許容リスクを踏まえた判断ができる
一方で、論理的思考に基づく経営判断ならば、最悪のケースは最低限回避できるようにできますし、その上で許容できるリスクを取った経営判断を選択できるでしょう。
そしてリスクがどの程度か把握できているからこそ強気な経営判断ができる利点もあります。
客観性が高いほど論理的思考力が高くなる
論理的思考力はクライアントとの関わりだけでなく、クライアントと関わるためのセルフマネジメントにも活かせます。
自分の実力を超えすぎたスケジュール管理をして倒れてしまっては、自分が困るだけでなくクライアントにも迷惑がかかります。
セルフマネジメントをするためには自己観察をする必要があり、自己観察とは自分を客観視することでもあります。
客観的に見ることも論理的思考力の要素ですし、そういった点からも様々なことにつながるため、論理的思考力が高いに越したことはありません。
まとめ
ここまで、経営コンサルタントとは何かについて、どういった仕事なのか、必要な資格はあるか、求められる資質やスキルや適性について、それぞれ解説してきました。
ポイント
- 経営コンサルタントとは、クライアントの経営をより良くした上で、クライアント自身で業績を伸ばし続けられるように相談・助言・支援をする仕事
- 経営コンサルタントに必要な資格はない
- クライアントの経営判断に助言する以上は高いスキルが求められることになる
経営コンサルタントになるには、必要な資格や経験年数、年齢などの制限はないので、誰でも経営コンサルタントになれます。
誰でもなれるとしても、クライアントと同等の実務経験や、十分な能力があることを伝えられるコミュニケーション能力は身につけておきたいですね。
ここまで一読いただき、ありがとうございました。