事業再構築補助金の不採択が続いている。
これから申請するつもりだが、内容が理解できない。
そんなお悩みはありませんか?
事業再構築補助金は過去最大級の補助金額ということもあり、非常に注目されている補助金です。
しかし、その分難しいことも事実です。
この記事では、事業再構築補助金が難しいと言われる理由を7つに絞りました。
そして、ぞれぞれを乗り越えるためのコツを解説していきます。
補助金獲得の道筋を見るため、是非参考にして下さい。
Table of Contents
事業再構築補助金が難しい理由①申請書類が多すぎる
一般的な補助金と違い、事業再構築補助金は23種類もの申請書類があります。
さらに申請の枠によって、必要な書類が異なります。この申請書類の多さは、経営者を混乱させる大きな要因です。
申請書類の不備は必ず防ぐ
第3回までの事業再構築補助金では、添付不備で不採択となるケースが、なんと1割以上発生しています。
- 売上が減少している証明書類の添付が無かった
- 事業財務情報が添付されていない
- 添付ファイルの破損や開けない
それだけ申請書類の多さと内容は複雑であることが読み取れます。
第4回応募以降では、添付書類の不備は減少傾向にあるようですが、おそらく一定数発生していることは変わりはなさそうです。
要因として、経営者は申請に割ける時間が少ないことが挙げられます。
このことから、認定支援機関による念入りなチェックで不採択率は一定数低減させることが可能です。
事業再構築補助金の事務局では、申請時の注意点がまとめられています。申請前には目を通しておきましょう。
申請枠によって申請書類が異なる
第7回公募では、6つの事業類型が設けられており、申請枠によって準備書類が異なります。
正しく書類を準備するためには
- 事業類型の確定(必要な申請書類が確定)
- 書類の準備
- 書類の不備がないかチェック
必要な書類はこちらで閲覧可能です。
事業再構築補助金が難しい理由②通常枠が難関
通常枠の採択率は3~4割で推移しています。
採択されやすい事業計画と、採択されにくい事業計画を見極めること。
また、条件が適合するならば、優遇される申請枠へ誘導することも大切です。
申請を進めるべきか判断
通常枠は決して高い採択率とは言い難く、準備する申請書類作成の難易度から見ると難関と言えるでしょう。
経営者の考える事業計画にも
- 採択されやすい計画
- 工夫すれば採択される可能性がある計画
- 採択されにくい計画
これらをしっかりと見極めて、案件を進めるべきか否かを判断する必要があります。
通常枠が難しいと感じる方へ、こちらの記事も是非参考にして下さい。
適切な申請枠への誘導
過去の採択結果を見ても、採択率は通常枠よりも特別枠の方が高い傾向にあります。
特別枠とは何でしょうか?
時期や状況に応じて、通常枠以外に設けられた申請枠を指します。
過去の特別枠の採択結果では、緊急事態宣言特別枠や最低賃金枠の採択率が圧倒的に高くなっています。
第7回公募にも最低賃金枠が設けられています。また緊急対策枠という、原油価格高騰に係る申請枠が新設されています。
今後の特別枠も通常枠より採択率が高くなると予想します。
条件が合致し、事業計画に適合するのであれば積極的に狙うべきでしょう。
事業再構築補助金が難しい理由③不採択率が高い
一定数採択の反面、6~7割は不採択です。
この事実を認識しなければなりません。
不採択の理由は何が多いのでしょうか?
特に多い不採択理由が3つあります。
多い不採択理由①内容が伝わらない
審査員に内容が伝わらない場合、5W1Hで内容がまとめられていないことが大半です。
(いつ)目標達成からの逆算
(どこで)販路
(誰に)製品・サービスのターゲット層
(何を)販売する商品やサービス内容
(なぜ)事業再構築の理由
(どのように)販売方法
これらを数字で定量的に示すことが伝わる事業計画書です。
また、文章だけではなく、図解を用いることでより分かりやすい内容となります。
多い不採択理由②実現性が低い
実現性が低いと感じさせる主な理由は、マーケティングと分析、資金面です。
マーケティングは狭い範囲で
マーケティングで注意するべきは、新しい市場にその商品のニーズがどれだけあるのか、そしてその根拠です。
全国的に好調であっても、販売地域では後退しているケースも十分考えられます。
狭く、深いマーケティングが求められます。
SWOT分析の活用
事業再構築補助金ではSWOT分析が非常に重要です。
自社の強みを活かした戦略で、計画の実現性を高めることが可能です。
資金調達
あまりに規模の大きい計画では、資金調達は本当に可能なのか?
と疑問に思われるケースも少なくありません。
また、事業実施の最中に資金難に陥る場合もありますので、資金調達の方法については明確にしましょう。
多い不採択理由③事業実施における課題と解決策が無い
何の問題もなく目標が達成できる事業は無いと認識しなければなりません。
事業を進めていく時に必ず当たるであろう壁や障害、考えられるリスクは必ず書き出し、その対策を明記することが必要です。
採択されるための事業計画書の作り方は、こちらの記事でも解説しています。是非参考にして下さい。
事業再構築補助金が難しい理由④事業類型がよく分からない
そもそも事業類型とは何でしょうか?
申請枠の種類のことです。
補助金額と条件がそれぞれ異なります。
最初に当たる壁は、事業類型の理解です。
事業再構築補助金に挑戦するには、事業類型の条件を満たす必要があります。
事業類型 | 要件① | 要件② | 要件③ | 要件④ | 要件⑤ |
---|---|---|---|---|---|
通常枠 | 売上10%減少 | 指針に沿う取り組み | 認定支援機関の策定 | - | - |
大規模賃金引上げ枠 | 通常枠要件を満たす | 従業員101人以上 | 8,000万超の申請 | 最低賃金増加 | 従業員増加 |
回復・再生応援枠 | 通常枠要件を満たす | 売上30%減少 | 協議会の策定 | - | - |
最低賃金枠 | 通常枠要件を満たす | 最低賃金雇用率 | 売上30%減少 | - | - |
グリーン成長枠 | 認定支援機関の策定 | 年率5.0%成長見込み | グリーン分野の取り組み | - | - |
緊急対策枠 | 通常枠要件を満たす | 売上10%減少(現有高騰前後) | - | - | - |
事業類型についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
事業再構築補助金が難しい理由⑤指針がよく分からない
それぞれの類型には達成するべき指針が定められています。
指針を理解するためには、まず新規性要件を理解しましょう。
指針とは
事業類型とは何が違うのでしょうか?
事業類型は申請枠。
指針は申請する事業の実施方法です。
新規性とは
どの要件にも新規性要件という言葉が多用されています。
新規性とは一体どのような要件なのでしょうか?
製品の新規性
製品の新規性とは?
- 過去に製造実績が無い
- 主要設備の変更
- ビフォーアフターを数字で提示可能
ポイントは、新事業を実施した際に、何がどのように変化するのかを数字で明確に提示できるかどうかです。
定量的に示すことで相手に伝わりやすくなり、信頼性の高い事業計画となります。
数字で明確に提示:定量的
抽象的な目標:定性的
定性的と混同しないように注意しましょう。
市場の新規性
市場の新規性とは?
既存製品との代替性が低いこと
代替性が低いといえる基準はありますか?
新しい製品を売り出した時に既存製品の売上が下がらないことが大切です。
ターゲットを変えることが代表的な例です。
コロナの影響で観光客は減ったが、出張するビジネスパーソンに向けた宿泊施設を運営する。
このような場合、売り先が全く異なるため、市場の新規性に適合すると言えるでしょう。
過去の採択事例が非常に参考になります。是非こちらからご覧ください。
事業再構築補助金が難しい理由⑥要件達成できる企業が少ない
続いてあげられることは、要件を達成できる企業が非常に少ないということです。
大きな補助金のため、申請条件も非常にハイレベルです。そのため、その条件を満たす企業がそもそも少ないという事実があります。
解決策はありませんか?
こちらのデータから仮説を立ててみましょう。
日本には357万を超える中小企業が存在します。日本全体の99%以上は中小企業もしくは小規模事業者ということになります。
この中で事業再構築補助金への応募率はわずか0.6%です。
おそらく、事業再構築補助金の存在を知らない企業や、断念している企業もまだまだ多いのではないでしょうか。
事業再構築補助金の採択結果からは、エリア別の応募数も確認することも出来ます。
身近なエリアにも営業先は残っています。
集客の余地はまだまだあると言えるでしょう。
事業再構築補助金が難しい理由⑦補助事業中に断念
ここが最大の関門となります。
策定した事業計画の実施と目標達成です。
実は採択後に、事業が完遂できずに補助金が受け取れなかったという企業もおられます。
事業の新規性が求められるこの補助金では、誰でも簡単にやり遂げられるわけではありません。
補助事業を無事達成するためには、コンサルタントとしてあなたの知恵が必要です。
次のブロックで、補助金を受取るためのコツを解説します。
事業再構築補助金を受け取るための3つのポイント
事業再構築の成功は、新規事業の成功と同じ認識を持つ必要があります。
目標から逆算し、リスクアセスメントの実施、そして達成するための意欲を持続させることが大切です。
逆算によるプロセス
逆算から始めなければ、エイヤ!と勢いで事業を実施するのと変わりません。
- 目標の経常利益を基準とし、設備や人への投資。
- 事業達成のために販促や技術向上。
- 業務効率のためのシステム化と仕組み作り。
いつまでに何をしなければならないかを細かく数字で明確にしましょう。
常に数字で追いかけ、達成度を可視化することで目標達成に近づきやすくなります。
リスク回避
代表的なリスクは資金と人材の不足です。
よくあるリスク①資金不足
内装修繕や、必要な物品経費が予定よりも多くなり、予算が圧縮。
収支バランスが乱れ、赤字が続く。
このような運転資金に係る問題は絶えず発生しています。
売掛金の回収はもちろんですが、過剰投資の抑制や、資金残高を常に追いかける等、適切な資金繰りで上手に経営をコントロールしましょう。
よくあるリスク②人材不足
思いがけずに人が辞めることも想定しましょう。
ここで大切なことは、業務の仕組み化です。
業務の仕組み化が確立された組織は、不意打ちに耐える強い組織となります。
円滑に目標を達成させる大きな要因となるでしょう。
達成意欲
最後は精神論に近いですが、非常に大事なことです。
立てた目標に対して、愚直に実践する。
そして目標に向かってリーダーが引っ張っていく。
その熱意は時に何よりも大きなパワーを生みます。
情熱に人が集まり、助け合える環境が生まれ、成功がより確実なものに、近づきます。
諦めず、やり遂げましょう。
まとめ
今回の記事では、事業再構築補助金が難しい理由について解説しました。
事業再構築補助金は、準備するべき書類が多く、不採択率も高い補助金です。
補助金を受取るためには目標からの逆算と、リスクアセスメントの徹底が必要です。
最後は事業目標を達成するという意欲です。
事業計画の達成は、企業経営者のリーダーシップ性が非常に重要です。
それが維持できるようになった時、あなたのコンサル力が最大限に発揮されたと言えるでしょう。