公認会計士として実績を積み、個人事業主になる事を検討している方にとって、やはり気になるのは、先人達が個人事業主になって得られた恩恵や、どうやって開業したかについてではないでしょうか。
この記事では、公認会計士が個人事業主になる理由と、その方法について解説していきます!
Table of Contents
公認会計士が個人事業主になって得られる恩恵は?
公認会計士が個人事業主になるのは、なぜですか?
それは、個人事業主になると得られる恩恵があるからです!
公認会計士が個人事業主になった場合に得られる恩恵は大きく3つあります。
- 収入がUPする
- 仕事の幅が広がる
- ストレスが減る
では、内容を詳しく見ていきましょう!
収入がUPする
収入がUPする理由は、「自分で案件を選び仕事ができる」からです!
独立した公認会計士は、監査法人の「非常勤スタッフ」として監査業務の受注ができます。日当で5万円程度なので、非常勤の仕事を毎日受注することが出来れば、それだけで年収1千万円超えが実現できます。
また、今後監査補助の仕事が無くならない限りは、安定した生活をする分の年収は確保できます。
例) 年間労働日数を240日とした場合:240日 × 日当5万円 = 1,200万円
ポイント①
個人事業主となった公認会計士が、非常勤スタッフになり収益を得るのは割とポピュラーな方法です。
そこで、「収入的な安定」と「精神的な安定」を手に入れ、そこから専門性の高い分野で独自の地位を確立したり等の道があります。
ポイント②
非常勤スタッフ以外にも自分で単価を決めて仕事の受注が出来るので、今までは会社で決められた単価で給与が支払われていましたが、自分で単価を決められるので自信のある分野は高単価で受注する事も可能です。
ポイント③
高単価の案件を受注していく為には、既存顧客・士業からの紹介、士業交流会・ビジネス交流会などに参加してつくったネットワークからの紹介といった「オフライン活動」や、ホームページやSNSを活用した「オンラインの活動」による集客が必要です。
そこから、他と差別化できる自分の特徴・スキルを身につけ、受注に繋げていく必要があります。
仕事の幅が広がる
個人事業主になる事で、今まで実施してきた監査業務に加え、税理士登録をする事による「税務顧問の業務」や「コンサル業務」などの案件にも挑戦できます!
税務顧問の業務
税務顧問関連の業務は、大きく分けると3つあります。
顧問税理士
会計・経理業務などの基本的な仕事に加え、決算に関してのカウンセリングをすることで現在の事業・財務状況を明らかにし、どのようにすれば成長できる財務基盤の構築を実現できるか?といったコンサル業務など、経営の根幹に関わる助言を行う業務です。
記帳代行業務
本来はお客様が行うべき日々の取引記録を記帳する業務ですが、ついつい毎日の業務に忙殺され帳簿付けを後回しにしてしまうことが多い状況です。その部分を公認会計士が請け負い、記帳を行う業務です。
確定申告業務
本来はお客様が行うべき確定申告業務を、公認会計士が請け負い代行する業務です。
コンサルの業務
コンサルティング業務には、経営顧問など継続的な契約をするものと、単発での依頼を受けるものとがあります。
単発での依頼を受けるコンサルティング業務には、以下のようなものがあります。
- 銀行への融資・補助金に関するコンサル
- 企業・事業再生支援・内部統制の構築に関するコンサル
- 会計・税務など財務に関するデューデリジェンス
- M&Aに関するコンサル
他にも経験と知識を積めば、社外役員に就任したりする事も可能です。
ポイント
仕事の幅については、「自分が出来る事の多さ」とも比例していますので、常に出来る事の幅を広げるための勉強は実務については意識しておく必要があります。
デューデリジェンスとは
投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること
ストレスフリーになる
人によっては、この理由が個人事業主になる大半を占める方がいるかもしれませんが、ストレスが減る理由については、大きく2点あります。
▼時間に拘束されない
会社で勤務している場合は、「通勤」に「就業規則で設定された就業時間」、「残業」など、色々な時間に縛られた状態で仕事をしています。
個人事業主になると、自分で時間をコントロールする事ができますので、「働く場所」や「働き方」を選びやすくなります。
また、妊娠、出産といったライフイベントや、子育て、介護といった家族のケアにも時間を費やす事ができます。
▼自分が何に対し頑張っているか実感できる
個人事業主になると、お客様との契約は自分で対応します。より近くでお客様の「助けてほしいという思い」を感じることができ、やりがいに繋ける事ができます。
勤続年数が長くなってくると、見失いがちな部分になりますので、個人事業主として長く活動したい場合は意識しましょう。
▼開業する際には、セミナーに参加しインプットする事も大切です。こちらの記事では、セミナーへ参加する理由やポイントについて解説しています。気になる方は参考にしてみてください。
こんな恩恵があったんですね!個人事業主になる為には、どんな準備が必要ですか?
その準備については、次の章で説明しますね!
公認会計士が個人事業主になる為に必要な準備は?
公認会計士が個人事業主になる為に、前もって準備をしておいた方が良い4点について解説します!
- 税理士資格の登録をする
- 業務経験を積んでおく
- 集客準備・顧客をつかんでおく
- ブランディングを検討する
税理士資格の登録をする
公認会計士の独占業務である監査業務は、上場企業の顧客が中心になるため、個人の公認会計士事務所では受注できる確率が低くなってしまいます。
そこで、税理士登録をしておけば税理士の独占業務である「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」など、一連の税務サービスを提供できサービスの幅が広がります。
おおまかな税理士登録の流れ
- 税理士会宛に申請書類の提出
- 登録の動機や、今までの業務経験などの面談・審査
- 必要に応じて不足書類などの再提出
- ハガキによる登録通知の到着
- 税理士証票・バッジの交付式
税理士資格の登録についての詳しい内容は、「日本税理士会連合会」のサイトをご覧だ下さい。
業務経験を積んでおく
収入に関しては、非常勤スタッフをする事である程度、安定しますがより収入をUPさせたいと考えている場合には、専門性を生かし案件を獲得していく必要があります。
具体的には?
個人事業主として独立後「この分野を専門でやっていく!」と決めていない場合は、前もって検討しておく必要があります。検討後にできれば、その分野について専門に担当している事務所に入り、予め経験を積み、独立後に苦労しないことをオススメします。
集客準備・顧客をつかんでおく
「収入がUPする理由」でも解説しましたが、独立後に顧客獲得に苦労する事は往々にしてある事ですので、独立前に出来るだけの準備はしておきましょう。公認会計士だけに限った話ではないですが、個人事業主として活動する上で横のネットワークというのは大事であり、大切にする必要があります。
具体的には?
独立前からオフラインでのビジネス交流会などに参加しネットワークを広げたり、既存顧客からの紹介など、普段から網を張って情報をキャッチしておく様にしましょう。
ブランディングプランを考えておく
ブランディングとは、読んで字のごとく自身の「ブランド」を形作るための様々な活動を指して使われる言葉です。
ブランディングの必要性としては、「集客、販促、PR」といった場面で、他との差別化を図り活動を有利に進めることができるからです。
具体的には?
例えば、こんな公認会計士が2人いた場合はどうでしょうか。
A:「一方は仕事として淡々と業務を進めるタイプ」
B:「もう一方はお客様に親身になり、問題の解決を考えるタイプ」
あなたなら、どちらの公認会計士を選びますか? 一概に、こちらを選ぶ!とは言えないのではないでしょうか。その人の仕事の質以外の特性から判断し、自分に合っていると思う方から選ぶことになると思います。
どちらが良いという事ではなく、「当たり前以上の何か」をお客様に知ってもらいサービスとして提供する事が案件獲得につながります。ですので、敵を知り、自分を知って「ブランド」を検討する必要があります。
ポイント
ブランディングについては、自己分析をして自分の強み・弱みから考えていくことで、ブランドを構築しやすくなります。
こういった準備をしておけば良いんですね! 他は何か必要な手続きはありますか?
あります! それは、次の章で見ていきましょう!
公認会計士の開業に必要な手続きは?
それでは、個人事業主として開業するにあたって、具体的に必要な手続きについて解説します!
手続きとしては様々りますが、ここでは2つポイントに絞りご説明します。いざ、開業するとなった時に、実はあれが足りてない…とならない様に予めチェックしておきましょう。
- 開業届け出などの申請関連手続き
- 設備関係の手続き
開業届け出などの申請関連手続き
続いて、開業手続きと確定申告時の申請書類検討について解説していきます。
開業手続き
個人事業主として開業をする場合には、「個人事業の開業届出」の提出が必要です。
書類の提出としては、「事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出」と「所得税法第229条」により決められていますので、直前になって慌てないよう前もって準備しておきましょう。
詳しくは、国税庁のサイトに情報がありますので参照してください。
また、法人を新設する場合には、別途手続きが必要ですので以下を参照してください。
確定申告時の申請書類検討
個人事業主として開業してから一定以上の事業に関する所得が発生した場合は、「確定申告」をする必要があります。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は、白色申告に比べて手続きに少し手間がかかりますが、その分メリットもあります。メリットを受けるためには、しっかりと記帳や申請が必要になりますので、予め準備しておきましょう。
詳しくは、国税庁のサイトに情報がありますので参照してください。
公認会計士としての変更手続き
公認会計士が個人事業主として開業する場合、「公認会計士法 第20条」に基づき、日本公認会計士協会の公認会計士名簿にある登録情報の変更申請が必要になります。
会計士法では、「登録を受けた事項に変更が生じたときは直ちに変更の登録を申請しなければならない」となっております。
詳しくは、日本公認会計士協会のサイトに情報がありますので参照してください。
設備関係手続き
設備関連の手続きとしても主なものは以下になります。
銀行口座・クレジットカード
個人事業主の場合、個人名義の銀行口座やクレジットカードをそのまま利用しても問題ありませんが、プライベートとは別々に管理したい方は別途用意しましょう。
ポイント
メガバンクの場合、オンラインバンキングに利用手数料がかかったり、使用できるブラウザが限られているケースもあります。ですので、メガバンクの口座とは別に、ネット銀行の口座も持っていると便利です。
メールアドレス・WEBサイト
メールアドレスやWEBサイトは独立する際の必須ツールです。以前は勤務先が用意してくれていましたが、個人事業主となった場合は自分で用意する必要があります。
最初はGmailや会計士協会のメールを利用し、後から独自ドメインのメールアドレスを取得する人もいますが、最初から独自のメールアドレスを準備する方がオススメです。
ポイント
Gmailなどのフリーメールについて、作成や利用はお手軽ですが、その分そのメールアドレスには信頼が少ないからです。
なりすましなどのメールが多い時代ですから、最初から独自ドメインで準備しておくことをオススメします。
また、近年ではSNSによる宣伝などのビジネス利用も盛んですので、宣伝活動用として準備しておきましょう。
オフィス機器
こちらは、事業規模や何を専門として仕事をしていくかによって準備物も変わりますが、主な準備物としては以下になります。
携帯電話
こちらも、銀行口座・クレジットカードと同様に個人で使用している携帯電話を使用しても問題ありませんが、プライベートとビジネスの線引きをしっかりするためにも、新しく準備する事をオススメします。
印鑑(代表印、角印、銀行印、税理士印など)
個人事業主として活動していく上で、しっかりとした印鑑を持つことは、取引先からの信頼に関わる部分ですので非常に大切です。
ポイント
認印だけでも仕事をする事は可能ですが、顧客や取引先に提出する書類に個人の認印だけでは、対ビジネスとしては若干劣ってしまうことも考えられます。
丸印や角印を揃えてビジネスシーンによって使い分けをすると便利ですし、ビジネスが有利に働くことも期待できます。
名刺
名刺については、言わずもがな自分を表す代表的なツールです。
顧客獲得の為に参加する交流会など、必ず自分を知ってもらう為に必要なものになりますので準備しておきましょう。
また、ありきたりな名刺では自分の事を知り記憶してもらえない可能性もありますので、前項で解説した自分の「ブランド」も踏襲しつつ作成していきましょう。
まとめ
公認会計士が個人事業主になる理由と、方法について解説しました!
- 公認会計士が個人事業主になって得られる恩恵は?
- 公認会計士が個人事業主になる為に必要な準備は?
- 公認会計士の開業に必要な手続きは?
これから個人事業主を目指すみなさんにとって、その道は期待と不安が同居している事と思います。
ただし、その道には先駆者の方が沢山いて色んな情報や成功例が転がっている事も事実です。個人事業主になりたいと思われた、その気持ちを大事に本記事を読んで頂く事で不安な気持ちが解消されれば幸いです。