起業は完全な独力によって行うものだと思っていませんか?実は、起業に向けた独立支援として、様々な制度が存在しています。
資金の面だけを見ても、自分の力だけで起業資金を蓄えるのは並大抵のことではありません。蓄えることが長期化すると、やりたい事業に着手できるのがどんどん先延ばしになってしまいます。
また、資金だけでなく、起業の仕方や流れについても誰かに相談したいと思う場面がたくさんあるでしょう。ひとりで右往左往するよりも、誰かに相談した方が効率的です。
制度や相談先を賢く使い分け、スマートな起業を目指しましょう!
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起業のための独立支援:主に金銭的な支援が受けられるもの
起業に向けて、支援を受けたいものとしてすぐに思い浮かぶのは資金のことではないでしょうか。資金面の援助も当然存在していますが、これらは申請が必要なものばかりです。つまり、自分で情報を入手しなければ支援が受けられません。
制度によって条件も様々なので、自分の環境に合ったものを選んで申請しましょう。
※補助金・助成金など具体例も挙げてご紹介していますが、2022年3月末現在の情報です。
補助金
主に国や自治体がおこなっており、資金が支給されます。国や自治体が目指す世の中(政策目標)に合わせた内容の給付で、一方的な給付、つまり返さなくて良いものです。
申請受付前から採択件数や予算が決まっている場合がほとんどで、応募件数が多ければ受給できない場合もあります。また、公募期間が1か月ほどと短めです。3種類の中では最も受給が難しいといえるでしょう。
支給される時期についても注意が必要です。多くは後払い制となっており、一旦は会社の資金で全額支出した後で一定額が戻ってくるような仕組みになっています。
後払い制かぁ…つまり、費用の支払い時は、自社で資金を全額用意しなきゃならない、ってことですよね!
勘違いして、差引額しか用意していなかったらと考えると……恐ろしい!
必ず確認しないといけませんね!
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者を対象に、販路開拓や生産性向上の取り組みにかかわる費用の一部を支援してもらえる制度です。全国商工会連合会が実施しています。補助率は2/3(赤字事業者は3/4)、最大200万円が補助されます。
資金面だけでなく、経営計画書・補助事業計画書の作成もサポートを受けられ、それらによる審査の後、補助を受けることができます。もしも不採用となった場合でも、次回の公募で再度申請することが可能です。公募が4回あるため、補助金としてはチャンスが多いと言えるでしょう。
ものづくり補助金
中小企業等の生産性向上につながる改善をおこなうための設備投資を支援してもらえる制度です。補助率最大2/3、最大1,000万円が補助されます。
こちらも後払い制の補助金で、実績報告をした後、事務局で確定検査が行われてから交付額が決定されます。
地域創造的起業補助金→現在新規の募集はなし
補助金について調べていると、『地域創造的起業補助金』という制度を見かけることもあるかもしれません。こちらの補助金の募集は2018年(平成30年)のみだったため、現在、新規で募集することはできません。
募集期間もしっかり確認する必要がありますね!
▼他にも補助金制度は多数あるため、こちらの記事も参考になさってください。
助成金
助成金も、主に国や自治体がおこなう資金の支給制度です。こちらも返す必要がないものが多くあります。要件を満たせば受給できる可能性が高く、申請期間も数か月設けている場合が多いので、比較的受給しやすいと考えて良いでしょう。
ただし、なかには予算がなくなり途中で打ち切られることもあるので、そのリスクも含めて申請を検討しましょう。
また、先述の『補助金』と『助成金』は明確に区別されているわけではありません。申請する際には、それぞれの制度の条件や給付方法・期間など詳細に確認しておきましょう。
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
中小機構と各都道府県の公共団体・金融機関等が共同出資する地域独自の”官民ファンド”です。各地の農林水産物や伝統技術を活用する、商品開発・販路開拓の取り組みなどを支援する制度で、助成金の返済は必要ありません。
都道府県ごとに以下の3つの要素は異なるため、お住まいの地域ごとに内容を確認する必要があります。
確認すべき3要素
- 対象事業
- 助成率
- 助成上限
生涯現役起業支援助成金→令和4年3月31日をもって廃止
こちらもよく見かける助成金だと思いますが、令和4年3月31日必着の申請分までで廃止される予定となっています。
補助金・助成金についての情報は、インターネット上にも古いものが表示されがちなので注意が必要です!
金融機関から融資をうける
金融機関から融資を受けることを検討するのもひとつの方法として挙げられます。補助金・助成金と異なり返済が必要となりますが、当てはまる条件の補助金や助成金がなかった場合にも、事業計画書など必要書類の提出により、融資を検討してもらえます。
もちろん、必ずしも融資がうけられるわけではありませんが、選択肢のひとつとして検討してみましょう。
支援を受ける際の注意点は?
補助金・助成金は返済が必要ないことがメリットですが、課税対象となるので注意が必要です。課税対象となるのは所得税で、消費税は対象外です。
また、独立起業にあたり、資金面だけを考えておけば万事OKというわけでもありません。開業するにあたって必要な書類の作成やそもそもどのような手順で開業すれば良いか、全てが手探りといった場合も多いでしょう。自分だけで情報収集するのにも限界があります。
▼開業・起業について、どこに相談すれば良いか迷っている方におすすめしたい記事はこちらです。
『独立支援制度』とは?
独立するために情報収集していると、『独立支援制度』という制度名を見かけることがあると思います。これは一体どのような制度なのか気になっている方もいらっしゃることと思いますので、最後にこの制度についてご紹介しておきます。
独立支援制度は様々な団体で実施されている
独立支援制度は様々な団体で実施されています。各企業でもこの制度が取り入れられていることもあり、サラリーマンが独立・起業を視野に入れた転職をする際にこの制度がある企業なのかどうか、参考にすることもあります。
独立支援制度では、勤め先の企業である程度経験を積んだあとに、必要なリソースを提供してもらい独立することができます。このリソースには、資金もですが人材やノウハウも含まれます。また、屋号や商標をそのまま使用する許可をもらえることが多く、ブランド力の高い企業であれば、独立に向けて心強いサポートとなるでしょう。
これまでご紹介してきたような相談先を探さずとも、ある程度の疑問は社内へぶつけられますし、独立したい業界での「常識」も身に着けてから独立できることは大きなメリットです。
業種による向き・不向きも少なく、飲食店や美容室が多いものの、コンサルタント業界でも制度の導入が不可能というわけではありません。イメージ的には「弟子をとる」ような感覚でしょうか。
自分が独立・起業を考えているのなら制度の活用を考えてみると良いでしょう。一方で、自分が起業した会社で制度の仕組みづくりをすることも検討すると面白いかもしれません。
『のれん分け制度』や『社内フランチャイズ』と表現されることもある制度ですね!
まとめ
起業へ向けた独立支援として、様々な制度が存在しています。資金面の支援だけでも3種類存在しています。
- 補助金
- 助成金
- 融資
これら3つはどれも申請が必要です。各々、条件や返済の有無に違いがあるため、申請する制度については詳細もしっかり確認しましょう。
融資をうける場合には返済が必要ですが、一般的に補助金と助成金は支給制で、返済不要のことがほとんどです。その一方で、補助金と助成金は所得税の課税対象となりますので注意しましょう。
『独立支援制度』についても解説しました。資金・業界でのノウハウ・経営面の不安など「何もわからない」状態から始めるのなら活用を考えたい制度です。また、既に起業している、もしくは近々起業が決まっている方は、自社で制度の仕組みづくりをしてみるのも面白いかもしれません。最後までお読みいただきありがとうございました。