コンサルタントとして日々活動する中で、「シンギュラリティ」という言葉を耳にしたことがありますか?
「AI(Artificial Intelligence)」つまり「人工知能」が人類の知能をこえ、AI自身がAIを生み出したり、私たち人間の生活環境に多大な変化をもたらす事を指します。
人間がやっている仕事が奪われてしまうというやつですね
コンサルタントの仕事も例外ではなく、AIにビジネスを奪われてしまったら、廃業なんて事にもなりかねません。
そこで今回の記事では、AIが「できること」「できないこと」を理解し「コンサルタントができること」に重きを置いて、AIとの共存について解説していきます。
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コンサルタントとAIで競合するのではなく共存を目指そう
結論からお伝えすると、AIが普及してきてもコンサルタントの仕事が成り立たなくなるわけではありません。
AIは何をするにも万能で、人間のやっている仕事がどんどん奪われていくと考えてしまいがちですが、まだ時期早々のようです。
その理由としては、「人間と同等かそれ以上のAI」を生み出すことが、現段階では極めて難しいからです。
人間と全く同じ感情や雰囲気を持ったAIを想像できますか?
それはなかなか難しいですね(汗)
また、コンサルタントの存在意義やスキルについても、いったんここで整理しておきましょう。
コンサルタントの役割などに関して振り返るのには、以下の記事を参考にしてください。
ここからは、コンサルタントの仕事を奪う脅威としてのAIという概念を捨て、AIを活用してより良いコンサルティング業務ができるという概念に変換していただくための解説をしていきます。
AIを駆使して働き方を変える時代
冒頭でお伝えした「シンギュラリティ」に関して、人工知能研究の第一人者と言われるレイ・カーツワイル博士によれば、「2029年にAIが人間並みの知能を備えるようになって、2045年には技術的特異点(シンギュラリティ)がやってくる」と提唱しています。(参照:wikipedia)
諸説ありますが、AI普及の先にあるこの「シンギュラリティ」をこえた時に、「AIが一定の仕事を担うようになり、人間の働く環境が変化する」可能性は非常に高いと言えます。
言い換えればAIに仕事をまかせられる場面が増えてくるという事です
しかしながら、それが原因で「AIに仕事を奪われる」ことにはなりません。
人間にしかできない仕事はまだまだ多いですし、むしろどのようにうまくAIと共存できるかが重要という時代に差し掛かってきています。
AIができる仕事|できない仕事
先に「人間の働く環境が変化する」とお伝えしましたが、例えば「定型業務」のように、今まで人間が手を動かして実行していた仕事をAIが出来るようになるとどんなことが起こるでしょうか?
ポジティブに捉えれば、AIに「定型業務」を任せ、人間はその時間を別の仕事や行動に使う事ができるようになります。
定型業務とは
作業工程や全体の流れがあらかじめ決まっている業務の事
誤解を恐れず言えば、そういった意味で「定型業務」はAIに奪われても問題のない仕事と言って良いかもしれません。
まだAIには任せられない仕事については、人間が時間を割くことが可能になりますね!
「定型業務」には単純な入力作業(データなど)や食料品店でのレジ打ちなどがありますが、こういった仕事がAIに置き換えられ始めています。
コンビニなどでもセルフレジを見かけるようになりましたよね
また、倉庫での商品仕分けやピックアップなどの作業にも同じことが言えます。
AIにやってもらえれば365日休みなく動いてもらえるということが、メリットとなっています。
AIができること
上記を踏まえた上で、コンサルタントの仕事において、次のような仕事がAIに代替され得るのではないでしょうか。
AIができる仕事例
- 各種データの収集と分析
- 業務に必要な情報のサーチと仮説を立案すること
- プレゼンテーションの作成
- 簡単なメールや電話のやりとり(アポやスケジュール確認など)
- 定期的なお知らせの発信
AIにできないこと
一方で、AIには難しいこともあります。
主には下記のような例があります。
AIができない仕事例
- クライアントとの対話の場の雰囲気を感じて受け答えをする
- 提案した戦略などをクライアントが実行する際に常に隣で実行の支援をする
- クライアント社内メンバーとのコミュニケーションや利害関係のバランス調整をとりつつ仕事をする
- 相手の気持ちに寄り添ってその場その場で臨機応変に対応する
- 情熱や気合など感情を込めたプレゼンテーションや説明
いかがでしょうか。
コンサルタントの仕事に関して、AIにはまねできない仕事が多くあることをご理解いただけたでしょうか。
AIがもし、人間のコンサルタントと同様の考え方や感性を持ち、クライアントからも頼れる存在だと思われるようになればその限りではないかもしれませんが。
仮に、そうなる未来があるとしても、人間とAIがうまく共存できる世界を作る責任も私たち人間にはありそうです。
特化型AIと汎用型AI
ここまでの説明に補足をするために、AIの種類について解説していきます。
AIには大きく分けて「特化型AI」と「汎用型AI」があります。
特に、2023年現在で私たちの生活の中に取り入れられているAIは「特化型AI」が多く見受けられます。
では、それぞれ解説していきますね。
特化型AI
特化型AIは、ある特定の分野に特化した、決められた処理を行うAIです。
既に現在でも、多くの特化型AIが生活の中に取り込まれていることにお気づきでしょうか。
特化型AIを利用することによって、作業効率をアップさせたり、時短を図れたりします。
具体的に、特化型AIの例は以下のようなものがあります。
- 音声認識AI:スマートスピーカーなど
- 言語処理AI:音声入力、自動文章作成など
- 画像認識AI:指紋認証、文字の読み込みなど
こうして見てみると、意外と普段から活用しているものが多いのではないでしょうか。
普段何気なく使っているものもありますね!
ちなみに、AIには「学習機能(ディープラーニング)」があります。
例えば、特化型AIを使用した人間の好みなどを学習して、次回からはその人間に合ったサービスなどを提供してくれるということができます。
汎用型AI
一方で、「仕事がAIに全部奪われる!」と考えてしまうのは、汎用型AIの存在によるものと推察できます。
理由としては、汎用型AIは上記の特化型AIが出来るようなことも含め「人間と同じもしくはそれ以上に考えることができるAI」を意味するからです。
しかし、そういった汎用型AIを生み出すためには、人間の脳を作るよりもはるかに難しいといわれています。
ですので、まだまだ開発に時間がかかるというのが現状です。
人間と感覚の変わらないAI、まだ想像もつきません!
以上のことから、特化型AIを利用して、今後のコンサルタント業務をパワーアップできそうなことにお気づきの方もいらっしゃると思います。
コンサルティング業務にAIを活用する
前項までに、AIが「できること」と「できないこと」を解説してきました。
コンサルタントができることを振り返ってみて、「定型業務」を任せられるAIを導入できれば、本来力を入れるべき業務に時間を割くことができそうですよね。
例えば、以下のようなAIの活用が可能です。
- 顧客へのアポイントやお知らせメールなどの自動化
- 会議を音声認識でテキストデータに変換し議事録化
- ウェブサイトなどの膨大な情報の中から必要な情報を自動収集する
上記をAIに任せてしまえば、クライアントとの「密なコミュニケーション」や「寄り添い」など、コンサルタントとしてさらに力を入れるべき仕事に従事することが可能になると思いませんか?
また、こういったAIの活用方法などをクライアントに提案するコンサルタントも存在します。
次の事項で、詳しく説明させていただきます。
AIコンサルタントとは?
AIの技術を用いて、クライアントの課題を解決しようというコンサルタントが誕生しています。
AIは話題性があり、実用性としても高くなってきていて、多くの企業が活用またはこれから活用しようと考えています。
そこで、AI自体を操るコンサルタントも必要となるわけです。
具体的な役割を見ていきましょう。
AIコンサルタントの役割
対象のクライアントがAI導入を考えていた場合、そもそもAIを導入すべきか、導入後はどのような運用が良いのかなどを考えることから始まります。
AIを導入したときに、現在の社内システムとの連携や相性など、トラブルを防ぐためのクライアントとの綿密な打ち合わせをしていきます。
コンサルタントとしてクライアントの状況をしっかりヒアリングすることから始まります
最終的には、そのクライアントにあったAIのシステムを導入し、「売り上げの向上」や「業務効率化」などの価値を提供する役割を担います。
クライアントの状況を確認する
まずは、クライアントの課題やAIをどのように活用したいかなどのヒアリングを行います。
先に述べたように、現在は「特化型AI」が主流なので、「どこでどんなAIを導入するか」が重要になってきます。
クライアントの要望が現実的なのか、AIを駆使して解決できることなのかを細かく打ち合わせます。
「AIを導入すればなんでも解決してくれる」と考えているクライアントもまだ多いようです
ヒアリングをしながら、まずは「AIリテラシー」をクライアントに教えるということも、必然的にAIコンサルタントの業務に入ります。
リテラシーとは
ある専門分野に関わる理解や知識のこと。「AIリテラシー」の場合は「AIについて正しく理解し、正しく使用すること」の意味も含まれる。
最適なAIを見いだす
クライアントからのヒアリングで得た情報を元に、その課題を解決できるようなAIはどんなものが適切であるかを探っていきます。
クライアントの課題に対して、選定したAIで解決することが出来るかを検証していく段階です。
クライアントに提案する
活用するAIが決定したら、まずはクライアントにそのAIの説明と導入後のメリットなどを提案します。
クライアントも手探りの中、聞きなれないAIの導入などに戸惑うことが予想されますので、「裏付けになるデータや実績」、「具体的に何がどうなるのか」、「メリットとデメリット」はどんなものがあるのかをしっかりと説明します。
伴走しながらプロジェクトマネジメントをする
クライアントにも説明が届き、提案したAIが導入されることになれば、あとはその導入プロジェクトに入り伴走していきます。
社内システム導入時に活躍する「ITコンサルタント」のような立ち位置で、クライアントのプロジェクトメンバーとタッグを組んで、滞りなくプロジェクトを進めていきます。
AIコンサルタントになってみる
今のコンサルティング業務に加え、自分自身も「AIコンサルタント」になるという方法もあります。
ビジネスに対する知識はもちろんですが、この場合は「AIに対する知識」が必須です。
でもどうやって知識を増やそうかな?
そういった知識を深めるのに役立つ資格や試験も存在しますので、以下にいくつか例を記載します。
- G(ジェネラリスト)検定/E(エンジニア)検定
- Pythonエンジニア認定試験
- 認定AI・IoTコンサルタント
- データサイエンティスト検定
- AI実装検定
- ITパスポート
- AWS Certified Machine Learning Specialty
- 画像処理エンジニア検定
- 統計検定
これらの資格などの学習を始めて、AIコンサルタントを目指すのも一つの選択になるのではないでしょうか。
まとめ
AIについてはまだまだ未知の部分がありますが、活用すれば劇的に働く環境を変えることができる可能性のある素晴らしい技術です。
今回の記事を読んでいただいて、コンサルタントとして仕事が奪われてしまうという恐怖よりも、「AIとうまく付き合っていこう!」と思っていただければ幸いです。
それではこの記事のまとめです。
- AIが普及してもコンサルタントの仕事が奪われるわけではない
- AIの種類についての解説
- AIを駆使したコンサルタントの役割
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!