「コンサルタントとして独立・起業を考えているため、開業届の出し方について知りたいです。平日は忙しく税務署にもなかなか聞きにいけなくて。」
今回は上記のような悩みについてお答えしていきます。
具体的にこの記事では、『開業届の出し方』についてくわしく説明していきます。他にも、届を出すタイミング、他にもおすすめな手続きを3つ、お伝えしていきますね。
ぜひ参考に一読ください。
Table of Contents
開業届の出し方
開業届の申請手順は次の通りです。
開業届の出し方手順
- 書類(個人事業の開業・廃業等届出書)を用意する
- 書類の必要項目を記載する
- 書類を税務署に提出する
開業の届出ってなんだか難しそうですよね。でも実際は思っているよりも簡単ですので安心してくださいね。
それぞれ説明していきます。
書類(個人事業の開業・廃業等届出書)を用意
書類の受け取り方法は次の2通りです。
- 最寄りの税務署で直接受け取る
- 国税庁のサイトからPDFファイルをダウンロードする
→国税庁[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続※ページの真ん中あたりにファイルがあります。
直接行く時間がなければ、ダウンロードが早いし楽ですね。
会社勤めしていると、平日税務署に行くのもなかなか難しいですからね。
書類の必要項目を記載する
書類の書き方については、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
書類を提出する
書類の提出方法は次の3パターンです。
- 管轄の税務署に持参する→国税庁【税務署を調べる】のページ
- 郵送する
- e-Tax(インターネット)で提出
【忙しい方向け】税務署に行かなくても届出は可能
会社勤めだったり、忙しくて税務署に行く時間がないという方は、以下の【郵送】か【 e-Tax(インターネット)】での提出がおすすめです。
とはいえ、正直、土・日で税務署が開いていれば、サクッと出すのが楽かなとも思ってしまいますが。
まあ、なかなかそれは難しいですからね。税務署の方々もお休みは必要ですし。
郵送での提出
郵送先は管轄の税務署です。※国税庁【税務署を調べる】のページ
【郵送するもの】
- 開業届
- 開業届の控え
- 返信用封筒・返信用切手
- マイナンバーの確認書類・本人確認書類
- 青色申告承認申請書→開業と同時に青色申告の申請をする場合
青色申告承認申請書はどこで?
国税庁のサイトからダウンロードできます。(国税庁[手続名]所得税の青色申告承認申請手続)※ページの真ん中あたりにファイルあります
参考記事:詳しい郵送方法
開業届の郵送についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
参考記事:人によっては必要な書類
こちらの記事では、人によって必要になる書類も含めて必要書類を詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
e-Tax(インターネット)での提出
e-Taxはインターネット経由で、手続きができます。便利ですね。
ただ、専用のICカードリーダを購入したり、e-Taxの登録をしたりと、最初少し手間ではありますが。。
ICカードリーダライタとは?
電子情報を読むための機器。 インターネットでの行政手続きを行なうために必要です。
【必要なもの】
- インターネット環境とパソコン
- ICカードリーダライタ※ヨドバシカメラなど家電量販店・Amazonなどで購入可能
- マイナンバーカード→申請詳細はこちら【都道府県・市区町村が共同運営する総合サイト】※マイナンバーカードがない場合ID・パスワード方式で提出も可能(税務署で発行、暫定的な措置)
- 【ID・パスワード方式の手順】
- 税務署で本人確認を行い、ID・パスワードの発行(運転免許・パスポートなど顔写真のある証明書/顔写真の証明書がない場合は年金手帳・国民健康保険証など2つ以上)
- 国税庁のサイト【確定申告書等作成コーナー】の中で【作成開始】を選び【e-Taxで提出ID・パスワード方式】で必要事項を入力※こちらも一読【国税庁e-TaxのID・パスワード方式について】
- 画面に従い、申告・申請データを送信する
- 【ID・パスワード方式の手順】
【事前準備】
- e-Taxソフトのインストール※国税庁のサイト【e-Taxソフトのダウンロードコーナー】にて、インストール可能
- 利用者識別番号の取得
- 電子証明書の取得
※取得については、 国税庁e-Taxご利用の流れ で詳しく解説されています。
【e-Taxでの開業届の作成・提出】
- e-Taxソフトを起動
- 申請・申告等一覧の中から、「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
- 必要事項を入力
- ICカードリーダライタをパソコンに接続してマイナンバーカードをセット
- 電子署名を付与して送信
開業届の控えについて
送信したデータを印刷したものと、受信通知を印刷したものを提出すれば、控えにできます。
届出に必要な書類
開業の届出に必要なものは、マイナンバーをもっているか、いないかで変わります。
余談ですけど個人的にはマイナンバーってなんだか製造番号みたいで好きではないです。
たしかに。人によってはそう感じるかもしれないですね。
【マイナンバーありの場合】
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- マイナンバーカード
【マイナンバーなしの場合】
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- マイナンバーがわかる書類( 住民票記載事項証明書 ・ 住民票の写し ・通知カードなど)
- 本人確認書類( パスポート ・ 健康保険被保険者証 ・運転免許証など)
マイナンバーの申請
申請詳細は【都道府県・市区町村が共同運営する総合サイト】 で確認できます。
届出のタイミングはいつが良い?5つの目安
いざ開業の届出をするとしても、いつ出すのがいいの?よくわからない、という疑問も出そうですよね。
原則は開業した日から1ヶ月以内ですが、そこらへんも含めて、出すタイミングの目安として5つ説明していきます。
前提:原則は開業日から1ヶ月以内に提出
原則は開業した日から1ヶ月以内の提出が義務付けられています。
所得税法第229条の内容
不動産所得・事業所得・山林所得のどれかで、開業してから1ヶ月以内に届の手続きと記載されています。
ただし、1ヶ月を過ぎてしまっても罰則はないです。言ってしまえば、いつ出しても大丈夫です。※出さなくても何も言われません。
実際は、開業届を出していない個人事業主の方も意外といらっしゃるんですよね。
罰則はなにもないですからね。ただ、青色申告という大きな節税メリットがあるので、出さないともったいないとは思います。
事業所得での提出
事業所得、つまり本業として事業を営むタイミングで開業届を出します。そもそも開業届は【事業所得で開業】してからの提出が義務とされています。
副業の場合は?
副業では基本的に雑所得として扱われます※ある程度大きく稼いでいたとしても基本的には雑所得で扱われる ケースが多いです。(税務署の判断による)
事業所得でないと青色申告の控除も利用できないため、雑所得ではメリットはないと言えます。
開業届は独立・起業するタイミングで出すのが望ましいですね。
繰り返しになりますが、原則は開業日から1ヶ月以内ですが、過ぎてもなにも罰則はありません。
青色申告の場合は年度内に提出
青色申告を出すのであれば、届は年度内に出してください。理由は以下の通りです。
- 年を越えてから届出を出しても、前年分の青色申告ができない(最大65万円控除での節税が見込めない)※白色申告扱いになる
- 青色申告は開業届を出さなければ利用できないため
- 青色申告にて節税するのであれば、必ず年を越す前に開業届を申請する
少しややこしいですが、ようは年内に開業届を出せば青色申告も利用できて大きな節税になる、ということです。
退職後すぐに届出をすると失業手当が受け取れない可能性
退職後、すぐに開業届を出すと【失業手当が受け取れない】可能性があります。次のような理由からです。
- 失業手当は【再就職の意思がある】というのを条件の1つとしている
- 届を出す=個人で独立・起業する、ということでもう一度就職をする気がない、と見なされる
届出をすると扶養から外れる可能性
扶養に入りながら開業届を出した場合、状況によっては【健康保険上の扶養】に入れなくなる可能性があります。次のような理由からです。
- 通常、配偶者の扶養に入っていれば健康保険料は払わずに済むが、配偶者が属する会社の【健康保険組合ルール】によっては扶養に入れない
- 配偶者の【健康保険上の扶養】から外れる目安は年間所得130万だが、この目安も会社によってルールが違うため届を出す前に確認が必要
【開業届と失業手当・扶養】に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
開業届のデメリット、メリットなどについての内容です。ぜひ参考に一読ください。
参考記事:開業届を出すデメリット3つ+メリットも
税務署で相談するなら確定申告で混む時期は避ける
税務署で落ち着いて相談しながら手続きをしたい場合、混雑時期(2月16日~3月15日)避けるのがおすすめです。
理由として、混雑時期は確定申告で大変混み合うため、とても落ち着いて相談できる状況ではないからです。
確定申告の時期は人が殺到しますので、このタイミングは避けたほうがよいです。
初めて確定申告に行くと驚きますよね。「こんなに混むのか」と。
開業届以外におすすめな手続き3つ
ここでは、開業届以外におすすめな手続き3つ解説していきます。
先ほどから少しお伝えしている青色申告についても詳しくお伝えしますね。
青色申告
届を提出することで、青色申告制度を使えます(青色申告承認申請書の提出も必要)。青色申告制度の主なメリットは次の2つです。
青色申告のメリット
- 事業所得の最大65万円控除
- 家族への給与を経費にできる
それぞれ解説していきます。
事業所得の最大65万円控除
正確には青色申告特別控除と言われ、所得から最大65万円の控除が可能となり、大きな節税になります。
具体的には以下のようになります。
【所得税】
- 特別控除のない場合で所得500万→500万円(所得)×0.2(税率)ー42.75万円=57.25万円(所得税)
- 65万円控除ありで所得500万→435万円(65万控除の所得)×0.2(税率)ー42万7500円=44.25万円
- 上記2つの差額→13万円
【住民税】
- 500万円の10%=50万円
- 44.25万円の10%=43.5万円
- 上記2つの差額→6.5万円
上記の所得税と住民税合わせて、19.5万円の節税になります。
なかなか理解が難しい青色申告ですが、お得なのは間違いないので、なるべく活用したいところです。
家族への給与を経費にできる
家族を従業員として雇っている場合 (正確には青色事業専従者)、その給与を全額経費にできます。ただし、配偶者が専従者として働くと、配偶者控除が受けられなくなります。
専従者の給与が月3万など少額の場合、専従者にならず、配偶者控除を受けたほうがお得な場合もあります。
御夫婦でがんばるという方々にはお得な節税制度ですね。全額経費はすごいです。
小規模企業共済の加入
個人事業主、経営者などが事業を廃業した場合、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受けとれます。
開業届の提出、もしくは一度確定申告を済ませていた場合、この小規模企業共済に加入できます。
- 20年以上積み立てれば掛金100%以上の金額を受け取れる
- 掛金の全額が所得控除扱いとなる
- 一括受け取りを選択すれば、所得控除になる
などのメリットがあります。
会社員と違い、個人事業主は退職金がありませんから。この制度は助かりますね。
屋号付き銀行口座開設
おすすめの理由としては以下の通りです。
- 屋号付きの銀行口座を開設することで、社会的な信用アップにつながる
- クライアントによっては、屋号付きの口座でないと取引できない、という場合もある
社会的な信用もありますが、単純に屋号付きだと「事業経営してる」って感じがしますよね。
単純になんかかっこいいですよね。
よければ、下記の記事もご参考に一読ください。個人コンサルタントとしての強みについてです。
おまけ情報:個人コンサルタント【独自の強み】
開業届の内容とは関係ありませんが、コンサルタントとしての独立・起業にお役立てください。
個人事業主にとって大切な、独自の強みについて解説しています。強みがあることで他社との差別化になり、顧客からも「○○さんだから頼みたい」と感じていただけます。
まとめ
今日の記事をまとめると次のとおりです。
ポイント
- 開業届はまず書類(個人事業の開業・廃業等届出書)を用意する
- 書類の必要項目を記載する
- 書類を税務署に提出する(持参・郵送・e-Tax)
- 控えも大切に保管しておく
- 届出には、マイナンバーカードが必要だが、なければ代わりに住民票の写しや本人確認書類などが必要
- 開業届けは原則開業した日から1か月以内(過ぎても罰則はなく、提出もできる)
- 開業届を出すときは、青色申告もおすすめ(最大65万円控除)
ここまでお読みいただきありがとうございました。