扶養に入っている方が事業を始めるとき、開業届をどうするかで悩んでいませんか?
一番大きな問題である「扶養に入っていても開業届は提出できるのか」そもそも扶養で開業できるのかどうかがよくわかりませんよね。
また、扶養のままでもいわゆる「壁」を超えると扶養から外されてしまうのかもよく聞くお悩みです。
本日は開業届と扶養にまつわるお悩みについて答えていきます。
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開業届は扶養のままで提出できる!
結論から言うと、開業届は扶養に入っていても提出できます。
出さなくても罰則等はありませんが、事業を始めたときから1か月以内に税務署に提出しましょう。
扶養と開業については税法上関係がないので問題なく届出できます。
提出自体は問題なくできることが分かったところでメリットやデメリットについては、以前記事にまとめていますのでこちらも併せてご覧ください。
所得によっては扶養から外れる?
所得によっては扶養から外されることもあります。
そうなんですか?!扶養から外れなくてすむのはいくらまでなんでしょうか…!!
一口に扶養といっても「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」があり、区別して考えた方がわかりやすいのです。
所得税を払うときの扶養か、夫の社会保険に含めてしまう扶養とでは後者を重視している方が多く、判断基準もかわってくるため別物として考えます。
所得税はかかってもいいけど社会保険は払いたくない人はまず扶養者の加入している健康保険組合に問い合わせましょう。
社会保険上の扶養
社会保険上の扶養とは、被扶養者の年金や健康保険料が毎月の手取り額からひかれなくなることです。
社会保険上で扶養から外されるかどうかを調べるには扶養者の加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。HPをみてもいいですし、電話で問い合わせしてもよいですね。
組合によって、フリーランスは扶養での加入不可の組合もあれば、所得が少なければ加入可の組合もあります。
扶養に入れれば年間数十万のメリットがあるため、多少面倒でも組合に問い合わせてみる価値はありますね。
例えば関東ITソフトウェア健康保険組合では、被扶養者の条件を定めておりHPでも確認できます。
被扶養者の範囲であることなど標準的な条件のほかに収入基準で事業所得の記載があるので、フリーランスなどの働き方を認めているのですね。
税法上の扶養
俗にいう扶養に入った状態とは、配偶者が被扶養者を養い配偶者控除を受けていることです。
あなたがフリーランスや個人事業主として一定の所得を超えると配偶者は配偶者控除を受けられなくなります。
配偶者控除を受けると配偶者は以下の表のような控除が受けられます。
該当する欄の納税者の所得金額を確認して、いくら控除されるかチェックしておきましょう。
控除を受ける納税者本人の 合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者【控除額】 | 老人控除対象配偶者【控除額】 |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
所得額が48万より多い場合は配偶者特別控除になり、段階的に控除額が変動します。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | 900万円以下 | 900万円超 950万円以下 | 950万円超 1,000万円以下 |
48万円超 95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超 100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超 105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超 110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超 115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超 120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超 125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超 130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超 133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
また、あなたの事業が青色申告を予定しているなら、青色申告特別控除の65万が控除適用になります。
青色申告特別控除には控除額65万円、55万円、10万円の控除があります。こちらも控除を受けるためには要件があります。
自分がどの要件をあてはまるかチェックしておきましょう。
扶養に入りつつ、お得に働くためには経費を正しく計上し、使える控除をしっかり認識して該当するものはすべて申告しましょう。
扶養枠内で事業をする場合の注意点
所得の算出方法は収入-経費=所得になります。さらに所得-控除=課税所得です。
そのため、収入が多くても経費を多く使っていれば所得が少ないことになるので扶養から出る必要はありません。
基本的に業務に使用した費用は経費として申請できます。経費と控除が多ければ課税所得が少ない=所得税も少ないということです。
ではなんでもかんでも経費としてこじつけて申告すればお得じゃないかというとそうでもありません。
経費をできるだけ申告して節税に励んだ場合の注意点として、所得が少ないと社会的信用が落ちます。
収入が少ないとクレジットカードが作れなかったり、ローンの審査で希望額がとおらなかったりするなどよく聞く話です。
節税もほどほどに、適正な経費の申告を心がけましょう。
正しい経費の計上が明暗を分ける
経費に計上し忘れているものがないか再度チェックしてみましょう。
主に経費として計上されるものは以下の通りです。
- 仕事に使うためのPCやスマホなど
- オフィスのレンタル費用
- 業務に係る交通費やガソリン代
- 出張に必要な宿泊費
開業届を出すなら扶養から外れるほど働きたいところ
個人事業主やフリーランスは給与収入ではなく、収入に増減がある方が大多数です。
そのため、年間の所得が読みにくく、開業届のタイミングに迷ってしまうことも多いですね。
現在の所得額では少額の場合、開業届を出してギアをあげてバリバリ稼いでいくべきなのか難しいところです。
そんなときは、健康保険・年金などひとつずつ扶養を抜けたときにかかるお金を概算でもよいので計算してみましょう。
収入がある程度あれば、自分で社会保険を払ってしまった方がお得かもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は開業届を扶養のまま出せるかという観点でお話ししました。
- 扶養のままでも開業届は出せる
- その場合給与収入ではないので収入-経費-控除=所得
- 経費の計上が明暗を分ける
- 所得が少なければ節税にはよいが社会的な信用は落ちる
税や社会保険に関する情報は理解するのが難しく面倒になってしまいがちですが、あきらめずに一歩ずつ理解していきましょう。